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おもいでにかわるまで  作者: 名波美奈
第二章
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そして学生証には、丁度水樹の誕生日が記載されていた。


誕生日もクリスマスもある忙しい月だな、と聖也はその日を記憶に残すと、それが平日だと気が付き早速どうしてあげようかと思い巡らせた。


「みーずき。まだゆっくり遊びに行けてないね。悪いな。」


「いえ、12月はテストもありますし、行事も多いし仕方がないと思います。気にしないで下さいね。」


少しは気にして欲しいものだ。


「クリスマスはもう学校休みになってるじゃん?何しよっかなー?」


「あっ、クリスマスは羽柴君たちと遊ぶ約束をしています。すみません・・・。」


また羽柴っ!?


瞬介も月曜日の練習で締められる事が確定し、聖也は彼氏として今度こそ言わなければならない。


「先に約束してんなら仕方ねっか。楽しんでおいでな。」


彼氏との初めてのクリスマスとか、興味ないのか?クリスマスは2日あるとしても聖也はショックだった。まだうまく噛み合っていないような気がする。これでは付き合う前の時のままだ。


二人は店を出て駅まで歩いたが、水樹は自転車を押しているので手を繋いだりが出来ない。


今から突然電車で遊びに行くとしても、自転車を駅に停めてまた取りに来なければいけない。


平日も、まだ15歳の女の子を遅くまで連れ回すわけにはいかないので積極的には誘えない。


高校1年生と、いわゆる大学1回生の恋愛の難しさを聖也は改めて痛感しながら水樹と歩いた。


その後12月に突入すると、街の至る所にクリスマスツリーが置かれ、並木道もイルミネーションで飾られクリスマス一色となった。


‘帰ったら電話して’


クリスマスイブの24日、聖也は水樹にメッセージを送信した。


付き合ってからのこれまでの1ヶ月は学校クラブバイト教習で、学校帰りに会うのが精一杯で、でも明日は初めて水樹と昼から遊ぶのだ。


今日の聖也は昼間はバイトに行き、夜は家にいた。水樹は予定通り瞬介と同じクラスの前田礼と水族園に行っていた。


この学校は男ばかりだから、女子は必然的に男友達が多くなる。わかってはいるけれど、聖也の本心は嬉しくはない。


「もしもし、俺。お帰り水樹。」


「た、立花です。お疲れ様です正木さん。」


「うん。明日の時間と場所、変更なしでいい?」


「はい。大丈夫です。お願いします。」


業務連絡の様な、短めの電話を切り水樹の事を想う。


先週だった水樹の誕生日は学校帰りに少し会ってプレゼントを渡した。だから明日は誕生日とクリスマスの2つのお祝いを心からしてあげたい。


16歳になった水樹、おめでとう。


来年の誕生日は朝まで一緒に過ごしていたいと聖也は思った。

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