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おもいでにかわるまで  作者: 名波美奈
第二章
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それから二人が交際してから2週間程度経ったある雨の水曜日、聖也は実験もなく練習も雨の当たらない場所での基礎練だけだからと水樹と寄り道してから帰ろうとした。


交際してからは聖也のバイトと教習通いで休日に出掛ける事がまだ出来ていなかったが、水樹ならばどこへ行ってもニコニコ笑って喜んでくれそうで、まだ出掛けていないのにもう想像上の彼女がかわいかった。


そして聖也は誰にも気が付かれないように教室でほくそ笑み、やべー想像して笑うなんて変態のする事だぜ、と直ちに顔の表情を整え直した。


「なあ聖也、さっきの数学のここさあ。」


「おいおいお前狂犬に聞くなよ。」


「うん?そうだよ君達、ここはさ、初期条件だから0をさ・・・。」


「やべ、聖也がチワワになってる。」


「トイプードルだろ。」


「最近柔らかいね聖也。」


なんとでも言えばいい。それから水樹に今日会えるのかと連絡を入れ、放課後になって水樹からの返信を確認した。


‘すみません。今日は羽柴君の誕生日なので、他の友達と3人で遊びに行ってきます’


はあー?はっしっばっー。何水樹に祝って貰おうとしてんだよっ。水樹俺の誕生日はスルーだったんだぞ。駄目だ、絶対に駄目だって言ってやる。


ここは一つ、彼氏として毅然とした態度を見せなければならない。


‘了ー解っ。親が心配するからあんま遅くなんなよ’


って俺の馬鹿、イケメンか、心配してんのは俺だから。それにもう一人って誰だよ男?女?そんな細かい事聞けねー、俺はそんな小せえ事でヤキモチなんかやかねーから。そうだよ。俺達は始まったばかりなんだ。


水樹はまだ聖也の彼女だという自信があまりなく、だから聖也が聞かなければ黙って遊びに行っていたに違いない。そして聖也は、肝心の水樹の誕生日はいつなんだ?と思った。 


この日二人は会わなかったけれど、11月の最後の土曜日の練習が終わった午後はやっとタイミングが合い、一緒にお昼ご飯を食べて和やかに談笑する時間を持つ事が出来た。

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