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おもいでにかわるまで  作者: 名波美奈
第二章
59/263

59

自分で訪ねておきながら、二人きりになってしまい水樹は緊張した。でも、突然遊びに来た水樹に対し勇利は嫌な顔一つせず、いつもの整った顔で笑ってくれた。


来て良かった、と水樹も微笑み返した。


「お友達の方面白いですね。」


「堀田の事?明人の事?」


「どちらがどちらかはわからないです。」


勇利は角刈りの方が堀田で、もう一人が明人だと教えてくれた。


明人は普段から断固無関心を貫こうとしているのに、堀田がお構いなしに明人を振り回すから、明人がそのキャラクターをキープ出来ずに崩れてしまう瞬間が面白いというなんとも相性の良い関係なのだそうだ。


「堀田さんは私がマネージャーって知ってるんですね。」


「あー、お前色々と目立つからね。それに女子が少ないから気にしてる奴は皆知ってると思うよ。」


「確かに言われてみればそうかもしれないですね。」


「でもさ、明人は知らなかったんじゃない?他人に興味ないと見せかけておいてさ、期待通りほんとに興味ない奴なんだ。うけるでしょ。」


水樹はニコニコしながら話を聞き、そして友達の事を楽しそうに話す勇利にまた幸せを貰い、どこにいても人気者な勇利を改めて凄い人だと思った。


「で、何か用事?どうしたの?」


「あ、特別な用ではないんですけど、最近正木さんがお休みされているから少し気になって。」


その時勇利の顔が曇った。水樹はもしかしたら聞いてはいけない事だったのではと自分の軽率な行動を悔やんだ。


「聖也君ね、実は・・・。」


「はい・・・。」


この話の続きを果たして聞いてもよいのだろうかと身構える。


「あのね、今ね、教習所に通ってるんだ、車の・・・。」


「はい・・・。はい?」


水樹は勇利の顔を見た。とてもニヤニヤしていた。だから少し頬を膨らませて詰め寄った。


「私の事・・・、騙しませんでしたか?」


「あっはっは!あん時の水樹ちゃんの顔!」


「宇野さん人が悪いですよ、もういいです。」


「ごめんごめん、あのさ、教習はほんとだよ。それでさ、あんま皆も知らないんだけど、聖也君大会の時に肩壊して手術してそれで今リハビリにも通ってるんだ。」


あれがそんな大怪我だったとは水樹は知らずショックを受けた。


「何も知らなかったです。そんな大変な事になっていたんですね・・・。」


「上の学年は知ってるけどね。まあさ、心配掛けたくなかったんじゃない、誰にも。特にうちのおせっかいのでっかいマネージャーさんにはね。」


ギュッと両耳を引っ張られた。でも痛くなかった。自分を子供扱いするような、そんな動作にまたドキドキする。


いつもいつも、勇利の全てで水樹はすぐに胸がいっぱいになるのだ。

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