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おもいでにかわるまで  作者: 名波美奈
第二章
42/263

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発声よし!メガホンよし!横断幕の掲示よし!


ベンチ入りしない後輩達は、試合のコートを囲む2階の応援席で試合開始のブザーが響く瞬間を待っていた。ここの体育館は大型で、2試合同時に開催されるのだが、それでも部員達にとっては今朝早くからの準備だった。


初日はA、C、E校と3試合あり、そして2日目はB、D校と闘う予定で、間もなくC校との一戦が始まろうとしている。何と言っても1年生部員にとっては入学してから初めての大会である為、ワクワクして手汗も尋常ではない者も多かった。


そして、頑張れー!と大声援の中待ちに待った試合が始まった。けれどもそのほんの数分後にはシーンと静寂になり、会場中の観客が息をするのを止めたのだった。


開始早々インターセプトをした選手がサイドから切り込みセンターの聖也にパス、それを聖也が空中で受け取りそのまま着地せずにシュートしたのだ。


どおっ、と静寂の後の大歓声により体育館内は一気に熱気に包まれた。


「ナーイッシュ!」


「うわあ、かっこいいー!」


凄い凄いと後輩達も大興奮する。これが大人のハンドボールなのである。これが正木聖也なのである。


聖也を初め皆動きはキレキレで、この開始の勢いのまま流れを一度も相手に渡さず、一試合目を32対20で勝利した。


そして第一試合のC校に快勝した後聖也達は用意されたお弁当を上機嫌のままお腹に入れ、午後、次の強豪A校との試合開始の合図をコートに整列して待っていた。


今年も自分達とA、そしてB校の三つ巴の予感がし、確かにやってみなければわからないのだけれども、実力的にはほぼ互角のようだと感じてはいる。


2位通過なんて頭にない、聖也は一位が好きなのだ。聖也はふうーと息を吐き、それから目の前の世界に集中する。そして気持ちを落ち着かせる為に瞳を閉じて、1試合目の試合の大歓声を頭の中でもう一度浴びた。


よし。行ける。行くぜ。2試合目の開始のブザーが鳴る。


1ー0、1ー2、5ー5、9ー10・・・。


試合は予想外に前半から点の取り合いで、聖也達の速攻が決まれば相手も直ぐに点を取り返してきた。なんと言ってもA校のセンターが長身で、離れたところからでも正確にコーナーを狙ってシュートを打ってくる怪物の様な奴だ。


聖也達はその怪物を徹底的にマークし、ディフェンスを2枚つけてでも潰しにかかった。そうしてしまうと相手のサイドがフリーになりやすくなるというリスクが増えるのだけれども、サイドシュートはキーパー有利で今の所大きな失点には繋がってはいない。


ひょっとするとこの試合行けるんじゃないかと期待が胸をよぎる。16ー17、聖也達が1点を追う形で前半が終了した。

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