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「宇野君待ってよ!」
「えっと、ごめん・・・。名前わかんないや。」
出来立てほやほやの記憶の引き出しをひっくり返して捜索してみたものの、到底顔も名前もわからない男が二人、勇利に近付いてきた。
「超ショックだしー。俺のいかした自己紹介聞いてなかったのかよー、クラスで一番ナイスガイの、どうも、ほったまことです。シクヨロ!それでこっちは俺の前の席の長谷川。」
「おう・・・。」
「あ、よろしく・・・。」
え!?超不愛想だよね?怒ってんの?俺なんかした?それになんでこいつらこのテンションの違いでつるんでんの?それにそれにナイスガイ?シクヨロ?あーわけわかんねえ。
気になる箇所は多々あったけれど それどころではなかった。なぜなら勇利を混乱させている張本人の堀田はユニークな老け顔の髪は角刈りで、なんともそのファニイな外見に勇利はまず凝固し、また、体格もよくどうみても格闘技有段者にしか見えなかったからだ。
「今日は今からクラスの連中とカラオケに行くことになってるぜ。宇野君も来いよ。」
「えっ!?いや、まあ、べつ・・・。」
「宇野君も参加するってよー。」
堀田が人の話を最後まで聞かずに勝手に返事をした。
あーもうっ!見た目どおりかよっ!
「俺達も親友になれそうだね。俺と長谷川はバレー部に入部するんだぜ。な、長谷川。運命感じちゃう感じだよね?」
「まあ・・・。」
あっけにとられた勇利は返す言葉がなかった。でも、堀田と同じクラスな事も悪くはないんじゃない、と勇利は小さく吹き出した。