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おもいでにかわるまで  作者: 名波美奈
第二章
35/263

35

翌日の水樹の一限目の授業は教室移動からだった。


「おはよ水樹ちゃん。一緒に行こ。」


荷物を片付け礼の元へ戻る。


「お待たせ。おはよ前田君。」


「うん。それで昨日のボーリングどうだった?」


「そうそう、ちょっと聞いてくれる?私ね、3位だったんだー。嬉しい。」


「凄いじゃんやったね。イエーイ!」


「ありがとうー。でも筋肉痛になっててね、箸より重いものを持てないかもしれない。」


「じゃ、僕があーんしてあげるよ。」


「いやいや、だからお箸は持てるってば。」


「そっか。日本語って難しいね。」


朝からでも和やかな状態の二人は昨日のボーリングの話をしながら英語ルームに向かっていた。


「優勝は誰がしたの?」


「え!?うん。宇野勇利さんていう、2年生の人・・・。」


勇利の話になった瞬間に水樹のテンションは下がり、口数も減ってしまった。礼はそれに微かな違和感を感じたけれども、わからない事は深く追求せずにそのままやり過ごした。


「水樹ちゃん、おはよー!」


体操服姿の間宮仁美だった。


「おはようございます間宮さん。今から体育ですか。いいですね。私体育大好きなんです。」


「私も体育好きぃ。ねえねえ、昨日ボーリング3位だったんでしょ。超凄いじゃん。」


「ありがとうございます。」


「勇利君もさ、水樹ちゃんがクルクル回ったり飛んだりで、超楽しかったって喜んでたよ。」


「ほんとですか?」


水樹の表情が緩んだ。


「あ、でも女子にはハンディがあったんですよ。」


勇利が自分のいない場所で自分の話をしてくれているなんて、と水樹はくすぐったかった。


「宇野さんに、私も凄く楽しかったって伝えて下さい。教えてくれてありがとうございます。」


「うん。言っておくね。じゃあまた。」


勇利の記憶に自分が残っているだけでも感激し、水樹は素直に喜んでしまう。


勇利こそボーリングをする姿もかっこよくて、背の比べ合いをした事も思い出せば恥ずかしいのに嬉しくて、本当に水樹にとって勇利はかっこよくて可愛くて面白くて、全部完璧でずるい人なのだ。


だから勇利に出会えたおかげで水樹は毎日楽しくて、今日だって早くクラブの時間にならないかな、と勇利に会えるのを待ちわびてしまい、一昨日よりも昨日よりも想いは募っていくばかりだった。

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