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おもいでにかわるまで  作者: 名波美奈
第二章
26/263

26

入部届を無事に提出し、教室に戻った水樹に礼が近寄る。


「息切らして、どしたの?」


「うん。とうとう入部届け出したの。」


「ハンドの?そっか。決めたんだね。」


「うん。もう、やるしかないよね。」


「すっごい決意と気合だね・・・。ごめんなんだけど笑っちゃう。」


「なにも面白い事言ってないよ?」


礼はたかだか入部するだけの事なのに、無駄に真面目で真剣な表情の水樹がおかしくてたまらない。


「ごめんごめん。そういえば今日さ・・・。あー、まいっか。」


水樹が興奮気味だったので、だから礼はそれ以上は会話を続けなかった。そして残りの半日、礼は昨日の瞬介との会話を思い出していた。


二人は昨日の放課後、最寄駅の近くのショッピングセンターで軽食を食べながらお互いについて話をした。瞬介は表情も豊かでよく喋り、自分達は初対面とは思えないくらいに息が合うと礼は感じたのだった。


瞬介が言うには、卒業後は地元の国立大学に編入する目的で姉の住むこの街のこの高専に入学したらしい。


「そういやさ、聞こうと思ってたんだけどさ、礼の隣にいた女の子、名前なんていうの?」


「水樹ちゃんの事だよね?僕達同じ中学なんだ。まあ小学校もなんだけどね。ちょっとリアクションが古いっていうか、いつもずれてて超面白いんだよ。何?瞬ちゃん気になる?一目惚れでもした?」


「ははは。してないよ。確かにきれいでドキってなったけど、俺自身、一目惚れってないと思ってるし。もしかしてほんとは礼が好きだからここまで追いかけてきたんじゃないの?」


「うーん、違うよ。いい友達になれたらいいな、とは思うけどね。それに僕が恋したら、ファンの子が悲しむから。」


「何それ何それほんとなの!?その話もっと聞かせてよ。」


「瞬ちゃんて超ナチュラルなんだね。あ、そういや水樹ちゃん、今日ハンドボール部の見学行くんだって。選手なわけないからマネージャーじゃないかな?」


「えっ・・・。」


「ん?どうしたの?何か苦いものでも噛んじゃった?フリーズしてるよ。」


「あ、うん。実は俺、中学の時ハンドボール部でね。今後どうしようか迷ってたんだよね。」


「へえ・・・。うーん・・・。そうなんだ・・・。うーん、うん!いいじゃんいいじゃん、瞬ちゃんもハンドボールしなよ!それでさ、皆で仲良くしたら超ハッピーじゃん。」


「そうかな?まあとりあえず明日見学に行ってみる。」


そして礼は回想しつつも今日の午後の授業を全て終えると、水樹に挨拶してから帰宅した。


「僕帰るね。初日頑張ってね。」


「あ、うん。ありがとう。」


礼は瞬介の事も水樹の事も好きだから、純粋に嬉しいと思いながら教室を出た。

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