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おもいでにかわるまで  作者: 名波美奈
第四章
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J.J.ありがとう。J.J.にとってもきっとちょうど良い友人だったよね。と言い聞かせるも水樹の胸はチクっと痛くて、今日は家に帰りたくない気分になっていく。


帰路の途中は電車のモーター音をBGMにして、目を閉じて沈んでしまった気持ちをなだめた。そして水樹は卒業してからも通い続けた学校近くの神社に寄り道をして、そこで今日も力を貰おうと思った。実は水樹は明人の息が聞こえるこの神社に、ふられた後も姿を探しにフラフラとお参りに来ては、いつもここで泣いていたのだった。


当然一度も明人はいなかったしいたとしても困っただろう。そして、この世のどこかで生きているなんて信じらないと水樹の気持ちは破裂してしまいとうとう叫んだ。


いい加減もう嫌だ。


いつになったら私は許されるの?


あなたの夢だってずっと見てしまう。


ねえ。いくつの夜を超えたら、あなたを消し去る事が出来るの?ねえ明人っ・・・。


あなたを思い出になんてできないっ・・・。明人っ・・・。


今日のせいで感情的になっている。それから石段に座りお守りの袋を開け、中からいつか明人に貰ったおもちゃの指輪を取り出して薬指にはめた。これは水樹が暴走しない為のお守りなのだ。


嘘つきだよね・・・。


ばかっ・・・。


ずっと一緒なんて簡単に言わないでよっ・・・。


駄目だね神様。ごめんなさい神様。頑張って一人で生きたけど、仕事もちゃんとやってるけど、私は何も変われなかった・・・。もう忘れたいっ・・・。


そして人の気配で水樹は我に返り、はっ、あっ・・・えっ・・・と呆然と見つめた。


その姿がどんなに年をとって変わろうとも、水樹は一瞬でとらえる事が出来る。でもあんなに会いたいと強く想いを募らせていたのに、今は固まって瞬きすらも出来なかった。

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