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おもいでにかわるまで  作者: 名波美奈
第四章
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「その気持ちはわかるよ。でも僕達は出会わずにはいられなかったじゃないか。いつも気持ちは同じだ。アイ・ラブ・ユー。ミズキ愛してる。」


「あのね、大学で助教授をしている先輩がいてね、初めはお父さんの勤める大学で講師になってね、でもちゃんと本人の頭の良さと話の上手さとルックスなんかで学生さんに人気になっていったんだ。」


「なんの話だい?」


「だから私だって普通ならこんな希少な施設で働けないって後からわかったの。J.J.が声を掛けてくれたからだよ。ありがとう本当に感謝してる。」


「今話してるのはそれとは違うだろ?誰かを愛してしまうと、冷静でなんかいられなくなる気持ちを知ってるかい?本気の愛を知らないなんてミズキがかわいそうだ。」


「そうだね・・・。私も好きだよジョセフ。でも恋に溺れていない自分が好きだからいいの。私かっこいい女になりたいんだっ。」


「ファイン。」


「元気でね。また明日の月曜日も会うけど。」


「ザッツライフ。あなたを愛してから傷付いてばかりだ。その代わり僕は最終的にはミズキとは別の女の子を連れて帰るよ。そう、飼っている雌のヤモリをね。」


J.J.はウインクし、そして華麗なジョークに水樹は慰められた。


留学生として来日したJ.J.は館長の知人の子供で、学生の頃にボランティアで働きに来ていた。水樹は最初からアメリカに帰る人だとわかっていたが、水樹がどうしても立てない時は手を繋いで貰い、そしてJ.J.も水樹の警戒を理解しているのか、厳しく言い寄っては来なかった。


そして27歳になったそういう年頃の水樹の周りでは4割程度が結婚・婚約し、地元で医療機器の設計をしている瞬介からも今年結婚式の招待を受けている。聖也も既婚で、それどころか生涯モテ過ぎて楽しそうだ。


価値観の変化で晩婚、未婚が増えている中、水樹の周りの自慢の友達は早く結婚する。そして皆を見ていると、恋愛も結婚も力を入れて難しく考える必要はなく人生の一部として好きな人と一緒にいればいいのだとわかるようになり、それでも自分だけは駄目だからとブレーキを掛ける。きっと依存して相手を苦しめてしまい、その結果、せっかくここまで取り組んだ仕事も、それ以上の全てを失いそうで自信がない。

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