表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
おもいでにかわるまで  作者: 名波美奈
第二章
25/263

25

次の日、水樹は早速お昼休みに部長の教室まで入部届けを提出しに行った。


5年生は皆大人で、1年生の水樹には非常に居心地も悪く、だから勇利が書いた入部届けを手早く渡すと、逃げるように5年生の教室から走り去った。


ドキドキしたけれどこれで本当に入部したんだ、と気合も入ったような気がした。それから、皆の為に頑張って一緒に全国大会に行く、とも誓ったのだった。


そして5年生のいる棟から自分の棟に戻り、その勢いのまま廊下を曲がろうとした時だった。


ドンッ。水樹は尻餅をついた。


「いたっ。」


「あーごめん、ぼっとしてて。大丈夫?」


「明人お前気をつけろよーこの子ふっとんでるじゃん!ほら、立てるか?」


「はい、慌てていて上の空で私の不注意ですすみません。」


ぶつかった本人ではなくその友達が差し伸べた手を握り水樹はさっと起き上がると‘これからは気を付けます失礼しますっ。’と言いながらまた駆け足でその場を去った。


ぶつかった人とその友達の顔もろくに見なかったけれど、ぶつかった人、‘明人’はなんとなく無表情で怖いな、と水樹は感じたのだった。


そして、水樹が走り去った後に残された二人組はあ然としていた。


「明人明人、今の子1年かな?超かわいくなかった?しかも超早口でまじうける。」


「そうなの?あんま見てなかった・・・。」


「お前ほんと何にでも無関心だな。もしかして、ゲイなの?」


「はっ!?」


「まじごめん。お前の気持ちには応えられない。」


明人は返事をせずに無視をした。


「もしあの子が明日、俺にお礼のクッキーでも持ってきたらどうしようー。」


明人は返事をせずにダジャレも無視をした。


「誠と少女の恋の物語、第二章、やべー。」


第一章はどこいったんだよっ。と突っ込むような性格の明人ではないし、水樹が翌日に堀田誠にクッキーを焼いてくる事はもちろんないのだけれど、水樹と明人、二人の最初の出会いはここにあったのだった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ