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おもいでにかわるまで  作者: 名波美奈
第四章
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「うーん。そっか。さっきはちょっと言い過ぎたかも。ごめん謝るね。それに水樹ちゃん達は早く結婚するかもしれないし、ね。」


「うん・・・。」


水樹は否定しなかった。


「もう婚約でもしたの?」


「うーん正式にはしてないけど、働いてもずっと一緒にいようね早く結婚したいねって言い合ってる。でも明人君のキャラクターじゃないでしょ?聞かなかった事にしてね。」


「うん。いつも心を無にして消化させてるから安心して。」


お喋りを終えると実験室に戻ったが、礼はなんとも言えない気持ちだった。彼氏にそんなふうに愛の言葉をプレゼントされ続けたら、水樹は優しい性格だから自分の事を後回しにしてしまうのが痛いほどわかる。


「礼君。さっきはありがとう。でも明人君に養ってもらうとかじゃないから、ちゃんと就職はする。また担任の先生に相談してみるね。」


「良い話があるといいね。」


確かに水樹がキャリアを積んで部下を多く従え叱咤激励している姿は礼には想像し難く、それよりも子供を産んで赤ちゃんよりピーピー泣いて明人と赤ちゃんを可愛がっている姿に心が和むし、礼も結婚は早く済ませて、そこから他の事に思う存分集中したいという別の考えも持ち合わせている。


水樹は礼とは違う人間だ。だからそれも一つの幸せなのだ。ただそれでも気がかりなのは、明人が自分と同じ男であり、本当に二十歳という年齢で相手の人生を背負う覚悟はあるのだろうかという事だ。


前田礼は自分ではない他人の話を聞いては何か自分に出来る事はないかと思案し、それから、より多感で情緒不安定な卒業前の1年、大人になる前の1年が無事に過ぎ、皆が笑顔で卒業の日を迎えられますようにと祈った。

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