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おもいでにかわるまで  作者: 名波美奈
第四章
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明人が留年してから一年が過ぎた新学期でも、クラス替えは無いうえに誰も関心がなさ過ぎて今年も雑用係という名のクラス代表は水樹が続投する事になった。


そして、初めての5年生は忙しかった。今まで出来た事が、当たり前のようにはいかない。とにかく時間がない。それぞれに優先順位を決めて処理していかなければならない。それになんといってもその合間に最重要事項である、進路も進めなければならないのだ。


「このまま附属の大学に行くの?礼ならもっと上のレベルの大学に行けそう。」


水樹とクラスメートの礼は実験の合間に食堂で進路について話をしていた。


「別にいいの。忙しいし受験勉強とプライベートを両立させたいんだ。それに、大学へ通う事が僕の人生のゴールじゃないしね。」


「どういう事?」


「大学なんてただの通過点でしょ?その先の準備期間だよ。それより水樹ちゃんは?どうするの?」


「私は・・・。働こうと思うんだ。お姉ちゃんも短大卒業して楽しそうに社会人してるし、早く大人になりたいの。」


「就職する人の方が多いしいいと思うよ。行きたい企業はあるの?」


「それは・・・。明人君の就職場所も大事だし・・・。明人君のそばにいる事が優先的になってしまう。」


「長谷川さんと水樹ちゃんの人生は別だよ?それ大丈夫なの?他人の為を思ったふうにして自分の人生の選択をしてしまうと、つまづいた時に自分を支えるものがなくて倒壊しちゃうと思うな。」


「うん・・・。心配してくれてありがとう。」


「うーん。水樹ちゃんは長谷川さんの事しか考えてないでしょ?そこまで好きな人がいる事は、感性豊かで素敵だとは思うけど、危なっかしくて心配するよ。」


「うん・・・。なんかごめん。あのね、私ね、特に目的もなくて、この学校に入学したんだよね。でも5年間で何も変わらないまま就職しようとしているの。社会に出るのは不安だけど、きっと目的もないまま大学へ行っても、何も変わらず働くのが2年後になるだけだと思う。」


礼が想像していたよりは、水樹は自分を俯瞰的(ふかんてき)に考えていた。

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