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おもいでにかわるまで  作者: 名波美奈
第四章
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姉の桜に話を聞いた時から憧れていたシルバーのアクセサリーは幸せの象徴そのものだった。そして水樹はこんなにも想ってくれる明人から抜け出せない。


「きれい・・・。」


「買い物苦手で、大変だった。」


「あは。容易く想像できます。あ・・・。」


水樹がケースから指輪を取り出して更に注意して眺めていると、内側に明人の誕生日が刻まれている事に気が付いた。そう。この日は付き合えた日でもあるけれど、水樹には明人の誕生日で有る事の方がよほど大切で感動的なのだ。そして、こんなお洒落な事をあの明人がするなんて信じられないと含み笑いが止まらなかった。


「気持ち悪いよ。」


明人は水樹の指を持ち指輪をはめてあげ、水樹はそのままそれを眺めた。


「凄い。どうしてぴったりなの。魔法だ。ほんとにかわいい。ほんとに嬉しい。ありがとう・・・。」


それから指輪をはめた方の手の指を明人の手の指に絡めてゆっくりキスをした。ぎゅっと抱き締め合って、そうしていると相変わらず時が止まればいいのにと水樹は思う。


「体冷たいね。なんかソープの匂いもするし。またお風呂入ってきたの?」


「うん・・・。」


「風邪ひくよ。」


「今は暖かいよ・・・。」


明人は電気を消すと水樹をベッドまで引っ張った。


水樹は明人の事しか考えられない。水樹は明人なしでは生きていけないかもしれない。でもこれからもずっと一緒だから不安になる必要はない。未来はこんなにも眩しくて希望で満ち溢れている。


それから最後はキスをして、明人の家なので二人は直ぐに着衣した。その際水樹はおままごとの様に服を明人に着せて貰ってくすぐったかった。水樹の知るそんな明人はかわいくて、でもそれを誰も知らない。


「もうちょっと休んだらケーキ買いに行こ。」


「うんっ。」


その後一緒に外に出ると繋いでいても手が冷たかった。


「手袋忘れたね。」


水樹は事実を呟いただけなのに、明人は繋いだ手のまま自分の上着のポケットに水樹の手ごとしまい込んだ。そしてお喋りしながらケーキ屋まで歩く。


「真田幸村が好きなの?国語の発表してたもんね。」


「何も思いつかなかっただけ。歴史は空想と事実を織り交ぜて語り継がれるから面白いのは当たり前だよね。兄弟で豊臣と徳川に分かれた所にゾクってなるよ。」


「そうなんだ。」


少し興奮気味の明人が微笑ましかった。

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