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おもいでにかわるまで  作者: 名波美奈
第四章
208/263

208

明人は水樹の膝の上に頭をのせ、あお向けになっている。水樹は髪をとくようにして明人に触れる。


「それ気持ちいい・・・。もっといい?」


好き、私も、付き合おう、はい。たかが口でそう契約するだけなのに、その途端にお互いに権利と義務が生まれて全部が許されるようになるなんて、全く簡単で都合の良い話だと明人は思った。


チュ。


明人が考え込んでいるすきに水樹が明人のおでこにいたずらをした。


「ぷっ。立花さんの負け。」


本当は違う。反応したら明人の負けだ。目を開ければここにいる水樹は恐らく偽物で、ゴブリンが自分に罠を仕掛けているんだろうと明人はまるで勇利のような思考をし、なんとか落ち着かなければと手を動かした。


「うーんっ。」


両手を広げて伸びをしてから、そのままゴブリンの腰に手をまわしてホールドした。


「散歩行こ。」


目を開けて起き上がり、水樹と部屋を出て卓球をした。最初は普通にラケットでプレイをしていたけれど、途中でスリッパに変えてみたらより面白くて夢中になった。水樹はボールを返すのがやっとで、明人が軽くスマッシュするだけでも対応出来ずに怒ってしまいでもそれがかわいいから明人はまたスマッシュした。


卓球後はそのまま夕食を済ませ、でも水樹は余り沢山食べずに心配したけれども疲れもあるのかな、と明人はあまり追求しなかった。それから一度部屋に戻り二人で大浴場まで行き、そして1時間後に大浴場そばの休憩所で待ち合わせの約束をした。


明人は何をしていても楽しくてでもどこか上の空の中、目の前に並べられて用意されているイベントを淡々とこなしている。それに水樹の事が好きで今の関係も好きでうまくいっているのだから、あえて壊さなくてもよいのではないかと思えて、夜になるのが不気味だった。


とはいうものの、頭の中をガチガチに緊張させ続きを期待しているのも明人の正直な気持ちで、どろどろで吐きそうで胃も気持ち悪くて、そんなだからもう面倒臭くもなってきてさっさと眠ってしまえばいいのかもと無責任に思い始めた。

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