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おもいでにかわるまで  作者: 名波美奈
第四章
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チェックインして部屋に入ると目のやり場に困った。そして本当に今日はバイバイをしなくていいんだと水樹は純粋に感激した。


隣で明人は自らが作りあげてしまった重圧を和らげようと努めていた。いつかは訪れる瞬間だ。だとしてもそれは今日である必要はなく、そうは思っても今現在確実に決定している事が一つあり、明人はこれから好きな女の子と初めて、下手をするとこの世の生き地獄かもしれないというのに、ベッドを並べて朝まで眠らなければならないのだ。


「運転ありがとう。ドライブも楽しかったです。」


「はい。」


「大自然の中の秘境って場所でもないし、安く泊まらせてもらっているから窓の外の景色は普通だね。」


「十分だよ。」


「疲れた?お茶でも入れようか?」


水樹だって内心は何を話せばよいのかわからなかったが、明人がそっけないので疲れているのかなと心配した。


「夜ご飯バイキングだね。楽しみだね。長谷川さんは細いけどよく食べるもんね。それまで散歩する?卓球も行かなきゃ。お風呂は部屋の中にもあるね。でも私は下の大浴場に行くね。お風呂の後は敷地内のプラネタリウムでも見に行こうか。そこまで田舎じゃないから星空は普通かもしれないけれど夜の散歩もいいし。そうしたら眠くなるね。疲れてるし明日も歩くから寝なきゃ・・・。」


明人は水樹の口数の多さに圧倒された。


「あの、長谷川さん・・・?」


明人の返事が遅い為仲直りが出来ていないのかと水樹は不安になった。


「さっきは喧嘩みたいになってしまってごめんなさい。」


「あー・・・。そうだよ。嫌いって言われた。」


「そういえば・・・。訂正します。生意気にも失礼な事を言ってごめんなさい。」


「もう二度と言わないで。」


「反省しました・・・。」


「少し疲れた。」


明人は話の内容がなかなか頭に入って来ないだけだった。水樹は支離滅裂ではしゃいでいる。男心に関しては悪魔的に鈍いというのが普段の明人の見解だが、実は水樹は小悪魔的に男性をとりこにする事にたけているような気もした。


「5分経ったら起こして。」


平静でいられない。そして水樹が明人の髪に優しく触れれば明人の理性は崩壊しそうになった。

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