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おもいでにかわるまで  作者: 名波美奈
第四章
206/263

206

「もう。はあ。ごめん。ホントは連絡先知らないよ。それにさ・・・。俺立花さんと別れないからもしかしてはない。それとも立花さんはもう別れる事想像してるの?」


「そんなのしてないよ。でも・・・。」


「わかった。もし道で浅井さんと会う事があったら、俺会釈くらいはする。でもそれだけ。いくら立花さんに怒られても他の女性が圏外なのは変わらない。」


「うん・・・。」


明人には水樹がまだ納得できていない様子に見えた。


「俺のランキングにいるのは水樹だけだから。」


あっ・・・。と水樹の胸がキュッとなると同時に駐車場に着いた。


「あは。よくそんな恥ずかしい事言えるね。」


「笑った。」


「うん。あ、そうだ。あのね。私のランキングには5人いるんだよ。」


は?多くない?この話の流れで?と明人は嫌な予感がする。


「あのね。長谷川君でしょ。それから明人君、明人さん、アキさん、そして一位は・・・長谷川さんっ。で5人・・・って面白くないよね。バカみたいだね。今のすぐ忘れてっ。」


なっ・・・。と恥ずかくて明人は隠れようかと思った。


やばすぎだ。全部俺じゃん。どんだけ好きなんだ。


ほんとに水樹が子供っぽくてもうこれ以上は付き合いきれない。今日は彼女をぎゅって抱き締めるだけで精一杯だ。


「行こ。」


「うん。あ、卓球絶対しようね。旅のしおりにも書いてあるの。」


「うん。立花さん下手なのにすぐムキになるから困るけどね。」


明人はドキドキしていた。


「しおり見てもいいの?」


「うん。大したこと書いてないけど・・・。」


そうして水樹から受け取ったしおりのスケジュールを見ると、全身の中で最も太い明人の血管がドクッと反応した。


‘22時︰長谷川さんの事をもっと好きになる’


ズルいな読めないよ。


少し胸がいたくても明人は苦しくなかった。


歩きながら‘ 好きだよ’と言葉で言う代わりに繋いだ手に力を込めると、水樹のそこまで小さくはない温かい手からは ‘私も’とまるで応えてくれているかのような合図がいつもと同じように返ってきて、明人は安心して切なくなった。

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