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おもいでにかわるまで  作者: 名波美奈
第四章
205/263

205

「何か怒ってる?女の子って結局後から言うよね?それなら今言って欲しい。」


少し時間を置いて水樹は答えた。


「わかりました。じゃあ、あの、その、えっと、あの、長谷川さんは過去に彼女がいた事ありますか?」


「ある・・・。」


「年上?」


「うん・・・。」


「浅井さんですか・・・?」


見事な勘だった。


「うん・・・。付き合ったのは少しだけどね。」


形ある佐和子を知った直後だけに、水樹は自分で聞いておきながら強いショックを受けた。


「好きじゃなかったの?」


「いや・・・。いや、どうかな。」


「そう・・・。」


「もう思い出す事もないから。別れるとその人は一番上から最下位、もしくは圏外になる。」


「そこまで?そんな。中学生だし公園で話したりするくらいの関係で?」


時間にすれば数秒間、明人は黙ってからまた答えた。


「最後までした。」


言っても言わなくてもいいかもしれないけれど、嘘をついても優しさとは思わないから事実をためらう事なく告げた。けれども深層の部分は、自分の経験値は君と対等だよ。と虚勢でも張りたい明人の哀れさの表れなのかもしれない。


「あっ、はっ・・・。」


そして水樹の呼吸が乱れた。


「ごめん。やっぱりもう止めよ。」


「そうだね・・・。長谷川さん嫌い。」


「は!?」


水樹の突然の発言に驚き大きな声が出た。それに今明人が好きなのは水樹だけなのに一体何に怒っているのかわからない。


「自分の事を好きになってくれた女性(ひと)に対して、話し掛けるな、とか、圏外、とか、そんなの嫌だよ。人じゃない。どうかしてるよっ。それに、それにもしかしたらいつか私だって同じように・・・。そんなの考えられないもっと嫌だっ。」


立花さん・・・。と抱き締めたくなりそうなシリアスなシーンで明人はん?となんとなく腑に落ちなかった。


「じゃあ浅井さんに連絡してこれから友達になろうって言えばいい?」


「それは・・・。わかった。ヤキモチやくけど別にいいよ。耳塞いでおくから早くして。」


ヤキモチはやくんだ。と口元が緩み、それから段々どうして嫌われてしまったのかぐちゃぐちゃで益々この状況がわからなくなった。

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