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京都に来て3日目の朝、目覚めると聖也がいた。
「やっと起きたか?」
「はい・・・。おはようございます。あれ?どこか行ってたんですか。こんな早くから。」
「ああ。日課のランニング。」
「朝でも暑そうですね。」
必要最低限の会話を交わしてから支度をし、瞬介は夢も希望も何も詰まっていない小さなリュックを背負ってまたバイクで京都駅まで送って貰った。そして走っているうちに土地勘がないとはいえさすがに瞬介でも気付き、信号待ちで聖也に尋ねてみた。
「あの、京都駅ってもっと賑やかだったような気がするんですけど・・・?」
「そうか?」
聖也はそれだけ言うとまたバイクを走らせた。今日もうなだれる程に暑く、瞬介は寝不足もあり何かを考えるのも面倒臭くて、そのままバイクに自分の行き先を任せる事にした。
時折目を瞑り、思いもなく、でも目を見開いた。
え、え!え!?海だあ・・・。俺達海岸線をツーリングしてる!と瞬介は興奮してとっさに聖也に呼び掛けた。
「聖也君、聖也君、聖也君。凄いよ。めっちゃきれいだよ。海だよ海!!」
「ばっかお前、これは琵琶湖だよ。な、やばいだろ?」
超でかいじゃん・・・すご・・・。と瞬介は泣いてしまいそうで、そして日本の水瓶琵琶湖はやばくてでかくて、瞬介が思っていたよりもずっときれいだった。それからバイクを停めて二人で水際で水遊びをした。
「まじやべーな。しかも朝早すぎて誰もいねーし最高。確かに男二人で水際でいちゃつく趣味はねーけど超気持ちいいよな。」
「パンツまでビショビショじゃん。着替えもないしもう止めてよー。」
「すぐ乾くし塩水じゃねーから濡れても平気だって。」
「へえー。やっぱそうなんですね。世の中まだまだ知らない事だらけなんだなあ。」
「おう。それによ、琵琶湖にも波があるなんて目から鱗もんだろ。考えると日本も案外広いよなあ。知らないままなんてもったいないと思わねえ?うんそうだよ。」
「まあ・・・。」
「ふわー。俺朝超早かったから急に眠いわ。一回木陰で休もうぜ。」
聖也は用意良く木陰にシートを敷き、ドサッと横になった。そして瞬介も真似して寝転んだ。




