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おもいでにかわるまで  作者: 名波美奈
第三章
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泣かない。泣かない。ちゃんと気持ちを整理して、快晴の状態で明日自分から明人に伝えたい。でも同時に後ろ向きな気持ちも持ち合わせる。


振られたらどうしようか。どうして今日、明人は付き合おうと言わなかったのか。やっぱり面倒臭いからなのか。


好きになると、こんなにも不安が付いてくる。皆こんな気持ちで付き合っているの?と恋愛初心者だと思い込んでいる水樹にはわからなくて、それに毎日頭の中が明人の事ばかりで情けなかった。


水樹は眠れない夜を過ごし、次の日お菓子と小瓶と道具を持って、明人には内緒で朝、学校の教室のそばの庭に行った。待ち合わせまでにやりたい事があったのだ。


そして明人もまた、次の日クラブに行っても頭の中は水樹ばかりだった。


良かった。なんか良かった。凄いな、好きって言葉、勝手に口から出たから。これでハッピーエンド?両思いだよね?と思ってみた。


嫌違う、これじゃ駄目なんだ。これじゃ体だけの関係なんだきっと。何も求めない彼女はそれが望みなんだろうか?まさかね。と神社での二人を思い出してから否定した。


「うぃーっす。」


「おう和木。」


「ちょっと聞いて下さいよ。あのね、さっきバスケ部の奴に漫画を貸す為に教室まで漫画取りに行ったんですよ。」


「うん。」


「そしたら戻る途中でたっちー見かけてね、なんか様子が変で、思い詰めてそうっていうか、自殺でもしにいきそうな雰囲気に見えましたねあれは。」


「え?」


「まあ冗談ですけど。」


「和木・・・。俺腹痛。遅れるって言っといて。」


今日の待ち合わせは昼からだ。ドクドクと心臓が震える。和木のくだらない脅しごときでも心配になり明人は水樹を探しに体育館を出た。


やっぱり付き合ってもいないのに何度もキスしたから、そんなに追い詰めてた?ごめん立花さん。俺勇気がなかっただけなんだ。いつだって遊びじゃないんだ。だから変な事するな。と心の中で叫びながら教室まで全力で走り、でも部屋を確認しても姿はなくて、そして何気に窓の外を見ると木の下で号泣している水樹を見つけた。


何か持ってる?まさかっ・・・。と明人は窓を開けて飛び越えた。

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