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おもいでにかわるまで  作者: 名波美奈
第三章
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「ああ、あ、あ、すごーい。」


「やばいこれ楽しいっ。」


「今日一番の盛り上がりですねっ。」


ふわりひらりと舞い落ちる10個のパラシュートをはしゃぎながら追い掛けた。


「遠くまで飛んでないかな?ゴミになるから全部拾わないと。」


「わかりました。」


周辺を歩き、飛んでいったパラシュートを回収した。


「1、2、3・・・。あれ?9しかないですね。」


「ほんとだね。もう一回探しに行こう。」


そして二人で残りの一つを回収する為に、同じ場所も含めて歩いて回った。


「あ、あった。」


水樹が10個目のパラシュートを見つけ、それをそのまましゃがんで拾い上げた。


「えっ?」


「えっ?」


立ち上がった水樹の手のひらに載せられたパラシュートには、たった今祭りで売られていたおもちゃの指輪がぶら下がっていた。


「これ、さっきの夜店の・・・。どうして・・・。」


それは、パラシュートを拾うふりをして、明人がぶら下げておいたものだった。


「今日の俺から、あの頃の意地っ張りの水樹少年に届きますように。」


「えっ・・・。」


また見つめ合った。


「貸して。」


そしてなんとなくその指輪を水樹の薬指にはめようとした。


「あ、入らない。」


「あっ、すみません私骨太で。でもおもちゃだから先が開くと思います。」


十分細長いのに、そんな事気にする所は女の子なんだなっと明人は面白く、それから指輪を広げて水樹にはめて再び外した。


「これはあの頃の水樹君へのプレゼントだから俺が預かる。」


当然意味がわからずに水樹は不思議顔をし、そして残しておいた線香花火に火をつけた。


パチパチパチ・・・。小さなこの音はこの状況に陥った明人を意味深に追い詰め、そして最後の1本になる頃には、二人共何も話せなくなっていた。


苦しい・・・。愛しいのも苦しいのも面倒臭くて全部してこなかったから、明人はこの続きの事を知らない。


ごめんね立花さん・・・。と募ればもう明人は切なくてたまらなかった。


消えかけの線香花火の音なんて聞こえるわけがない。明人の心臓の音の方が大きくて・・・。


ポトッ。


花火の先の玉が落ち、世界がもう少しだけ闇になり・・・。


それから明人は、水樹に吸い寄せられるままにキスをした。

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