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おもいでにかわるまで  作者: 名波美奈
第三章
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色々な顔を持つんだね。としばらく明人は考え込んだ。


かっこいい所を見せようとしたのは俺の方だから。


「あのさ。俺立花さんがいたからソフトボール参加したんだよ・・・。えっと、傷、残らないといいね。」


水樹に振り向き直した明人じゃない明人が喋っていた。どうして明人じゃない明人は今まで明人が口にした事もないような恥ずかしい台詞を明人に断りもなく次々に思い付いては口に出してしまうのだろうか。


でも明人は気持ちが良かった。だからしばらく明人じゃない明人に明人を自由に任せて、これから何をしでかしてくるのか楽しみながら観察してやる事にした。


また背中を向けて、手をバイバイさせながら明人は歩いた。そしてもし明日、水樹から自分のレポート用紙が返ってきたら、今度は水樹について知らない事を一つずつ聞いてみようと思ったのだった。


それから残された水樹は放課後はいつも通りクラブへ行き、いつも通り瞬介とお喋りをして、楽しく今日のソフトボールの試合の話なんかもして、いつも通り帰宅した。


瞬介は水樹に、瞬ちゃんのバカバカバカと怒られ、でもかっこよかったよと言われて少し気持ちが和らいだ。そして、強がっていたけれども水樹はやっぱりほんとは悔やしかったんだな、と瞬介は水樹を可愛いと思った。


「ただいま。」


帰宅した瞬介の家には瞬介が1年生の時に貼った、ややくたびれたマスキングテープがある。瞬介がそのテープの高さでいつも通り背を比べると、自分とテープの差は後5ミリメートルもなさそうだった。そして背の高い水樹が、ずっと背は伸びていないと喜んでいるのを思い出す。


よしっ。水樹ちゃんまで後5ミリ・・・。と、それはくだらない瞬介の願掛けかもしれないけれど、瞬介が自信を手に入れる為には何年かかっても、その高さが必要なのだった。

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