表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
おもいでにかわるまで  作者: 名波美奈
第一章
14/263

14

そしてその場は一旦落ち着き飲食が開始されると、話し出す事といえばやっぱり女の子の事だった。


「学年で一番かわいいのって誰だと思う?」


「そりゃあ、間宮じゃない。」


あっ・・・。


間宮仁美の名前を聞くと、勇利は後ろめたい気持ちになって、いつも少し硬直する。やっぱり仁美は目立つのだ。


「確かに。でも、お前らやめとけ、仁美ちゃんは俺に惚れてるからよー。」


「そそ、そんなわけないでしょっ。」


「でもさ・・・、間宮ってさ、自分が可愛い事気付いちゃってるじゃん。そこが嫌い・・・。」


明人の言葉を受けて一同が凍りついた。普段何を考えているかわからない所のある明人の、なんだか鋭い指摘に勇利も相槌が出来ない。自分はこんなにも仁美の事が好きなのに、人によっては感じ方が違うなんて、勇利にしてみれば不思議な感覚なのだ。


「ばっか明人お前は女知らないのか!そんなの当たり前だし、可愛い子はそれでいいの!」


「そうそう、ひとみー。」


「明人、間宮は良い子だよ。俺にはわかるし。」


「えー、まさか勇利マジなの!?やめとけって。」


そうして料理を食べたりゲームをしたり女の子の事を話したりで今日も解散になると、堀田の家から駅まで全員で連れ立って帰った。勇利は明人と並んで歩く。


「明人さあ、三学期はあんま学校さぼんなよ?どっか悪いの?」


「別に。ただ朝起きるのだるいだけだよ。それよりさ、間宮の事悪く言って、なんかごめん。」


「な、なに言ってんの!?別になんとも思ってないし。」


「そうか、ならいいんだ。外野がどうこう言うことじゃないしな。うまくいくといいな。じゃあな勇利バイ。」


なんだよそれ・・・。うまくって・・・。俺、間宮には弟みたいにしか思われてないし、全然自信ないからね・・・。


告白もしていなければ振られてもいない為に、実は勇利の気持ちは消化不良のままだった。

 

それでも今日の空は空気が澄んでいて星が綺麗だ。


こうして季節は巡り、それぞれの場所でまた1年、彼らは大人になっていった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ