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おもいでにかわるまで  作者: 名波美奈
第三章
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明人がいくら心を閉ざしても、当然クジを引く番は回ってくる。放っておいて欲しい明人にとっては最悪な状態の連続だ。それでも抵抗せずに明人はくじを引くだけ引き、クラスの代表者に渡した。


「長谷川さん1番なんだけど・・・。」


クラス代表がポツッと一言こぼすと、ザワザワッとした後に教室内が静止し、でも明人は何も言わずどこも見ずに無視し続けた。


最悪。まさか俺にやらせるつもり?初日から留年生をいじめるなんて全員性格悪いよね。まあどうせやらないし、学校も絶対に辞める。


静けさの後は、どうする?などとヒソヒソ話し声が自然と湧いてきた。


「あの、はい、はいっ。私の席2番でっ、えっと私視力が悪いから長谷川さんと席を前と後ろで替わってもいいかな?」


「おー立花、それならお前が1番の席になるからお前が代表やれよ。」


「わかった。あのっ、長谷川さん席を交代してもいいですか?」


「別に・・・。」


明人は横を向いて返事をした。それから全員で移動して、明人は新しい席に着き庭を見た。明人の席は庭の見える窓側で前から2番目、席を替わってあげた水樹の後ろの席だった。


「席・・・、替わってくれてありがとうございます。」


「別に・・・。」


振り向いて明人に礼を告げ、水樹はまた直ぐに前を向き直す。席を交換したせいで、明人の代わりにクラス代表と言う名の雑用係を押し付けられたのに礼を言うなんて、勇利の後輩は変な奴だな、と明人は思った。


そして今日、明人は勇利の後輩が‘立花さん’だと知った。ただ、明人が水樹の名に触れたのは初めてのような、随分前にもあるような、そんなおぼろげな記憶くらいはあったのだった。


前年度、明人は単位を相当数落としているが、単位が取れた教科は授業を受ける必要がない。


そしてその明人の留年始業式から一週間も過ぎれば、明人の存在する教室が当たり前になる。最初の頃は爆弾に触れるように明人を避けていた今のクラスメート達も、もう慣れたのか明人を空気化した。


むしろ明人はそれで構わなかった。それに空気だからか、明人は初日から一度も欠席しなかった。

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