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おもいでにかわるまで  作者: 名波美奈
第二章
112/263

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瞬介のクラスメートの何人かが瞬介に近寄り瞬介をからかい始めた。


「瞬ちゃーん、だってー。」


「羽柴の女来てんぞーギャハハ。」


「瞬ちゃんは今からデートでーす。」


水樹は瞬介に申し訳なく思い焦った。でも瞬介はクラスメートの冷やかしを無視して廊下に来てくれた。


「‘瞬ちゃん’ なんて何も考えずに気軽に呼んじゃった。ごめん。羽柴君って言えば良かったね。」


「なんで?俺はいじりとかなんとも感じないよ?いじられておいしくなるなんて超ラッキーじゃん。だから気にしないで?」


「でも・・・。軽率だった。ほんとにごめん。テスト前だからクラブ休みでしょ?だから昼休みに来たの。でもこれからは迷惑掛けないようにもっと責任ある行動を取るね。」


「水樹ちゃん真面目すぎ。あいつらも友達だから平気だって。俺達の自慢のマネージャーが羨ましくて言ってるだけ。ね?」


「そんなお世辞言わなくてもいいよ。でもわかった。あ、それでね、あのね、今日ね、バレンタインだからね、あのね、はいこれっ。」


他の皆にも渡しているとはいえ、毎年凄く照れるし恥ずかしい瞬間だ。けれども、こんな時しか感謝の気持ちを伝えられる事もないので、水樹はこのイベントが好きだった。


「わあ。いつもありがとう。嬉しいよー。」


「今年で3回目だね。上達してるかなあ?」


「いつも超おいしいよ!俺めっちゃめっちゃ嬉しいもん。ありがとねー。」


「うん。他にもまだ行くから。またね。」


「またね。」


水樹は瞬介と別れた後、瞬介がからかわれていないか心配でもう一つのドアからもう一度教室を覗いてみた。


「瞬ちゃんの彼女瞬ちゃんより大っきいじゃん。」


「手作りとか、やばくない?」


「上手いか不味いか皆で食ってみようぜ。」


水樹がうろたえていると、瞬介は無言のままバサガサッと堂々と菓子の包装を開き、周りの皆に有無を言わさずに中身を平らげた。


「やばっ。超うめー。愛情の味しかしないし。んで誰がチビだって?」


瞬介はいつもの穏やかな雰囲気とは別人の様子で、からかったクラスメートを牽制した。水樹はあまり見た事のない瞬介の冷淡な表情に驚いた。


「じょ、冗談だろ、羽柴怒んなって。」


「女子のいるクラスめっちゃいいよなー。共学と男子校の違いでかいわあ。」


「悔しいから今度あの子のクラスに何か試合申し込もうぜっ。そんで絶対勝とうぜ。」


違う方向に話が流れたが、うまく収まったみたいで水樹は安心した。それになんだかいつもと違う格好いい瞬介も見る事ができた。


それから水樹は他のクラブの仲間と、最後は勇利に会いに行った。

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