【幕間】アイーダの物語
<お知らせ>
作品の見直しを再び行いたいと考えています。
ここまでの章に対し、話を追加して厚みを加えたいな、と……。
その為、しばらくは新章の更新を停止させて頂きます。
新章再開までは、今しばらくお待ちください。<m(__)m>
私はクシュ王国の姫アイーダ。
そして、先の結末で王女へと就任が決まった。
父であるアモナスロの死は悲しい。
この様な結果は、私の望む物ではなかった。
特に父の暴挙が自らの意思で無く、何者かの企てだとわかったので尚更だ……。
しかし、全てが悪い結末とも言えない。
思った以上の結果を得る事も出来た。
その一つはラダメスの存在である。
彼との出会いは、私にとっての幸運だった。
強さと優しさを兼ね備えたエジプトの軍人。
智謀と礼節を兼ね備えた貴人。
ラダメスと私が夫婦となれば、今以上に盤石な国家基盤を築いて行ける事だろう。
我が人生に齎された祝福を、我等が祖霊へ感謝の気持ちとして送りたいと思う……。
そして、更なる幸運は、アルフ様とライラ様との出会いである。
ファラオの指示でもあるが、あの二人が加わってくれた事は何よりの幸運だった。
いや、あの二人がいなければ、この結果は有り得なかったと言える……。
何せ父は精霊の姿となったのだ。
錬金の加護を与える、バフォメット様の姿を。
本物では無いそうだが、あの瞬間は皆が諦めた。
私達はもう助からないのだと。
それ程までに、精霊とは人類を超越した存在。
崇め奉るべき存在なのである。
その姿を見て立ち向かおう等という、勇気ある者が存在し得るだろうか?
――そう、父に立ち向かえたのは、アルフ様とライラ様のお二人だけ。
ライラ様の正体は精霊であり、アルフ様はその加護を受けた救世主だった。
きっとファラオは知っていた。
この国が悪魔と言う存在に蝕まれていた事を。
そして、予見していた。
あのお二人が居なければ、この国難を乗り切れないと。
数千年の歴史を持つエジプト。
その国を治めし賢者こそがファラオなのだから。
……しかし、あのお二人は何者なのだろうか?
精霊に導かれた救世主等、それはもう過去から伝わる伝説の中の人物である。
五十年前にも実在したと聞くが、その存在も今や高齢の方々が一部を語るのみ。
どの様な方々であったかは、我が国にも殆ど情報が残っていないのである。
――いや、一つだけ思い出した。あの方々との類似点を。
それはかつての救世主も、バビロニアからの使者であったという事実である。
アルフ様とライラ様の恰好から、あのお二人もバビロニアの使者なのだと思う。
バビロニアには何かがある。
精霊の加護を受けし、救世主が生まれる土壌が……。
とはいえ、あの国は多くを語らない。
静かに周辺諸国を見守るのみである。
エジプトを挟んで遥か先に存在する地。
魔法が支配する高度文明を持つ国家。
私にできる事など、旅人から伝わる物語を夢想する事くらいであろう。
……なので願う。
あの国とその使者が、世界を救う存在有りますように、と。
「第六章 クシュ王国の姫」が終了しました。
引き続き、第六章もお楽しみ下さい!
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