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未亡人の力

 皆さん、こんばんわ。

 ジャンヌさんが加わり、旅も三日目となります。


 ここら辺で改めて、ジャンヌさんの紹介をさせて貰おうと思う。


 まず、彼女の年齢は31歳。

 金髪碧眼で素朴にして親しみやすい顔立ちだ。


 右目の泣きボクロが色気を放つ、ザ・人妻といった雰囲気の人である。


 しかし、儚さは初日で吹き飛んだ。

 初日からモリモリと食べるのだ。


 更に怪我をしてるのに働きたがる。

 じっとしているのが苦痛らしかった。


 村での生活の影響か、今ではとても逞しいという印象が強まっているね。


 ――そして、今のオレは剣の稽古。


 女性陣は夕食の準備中なのだが……。


「ライラ様は料理がお上手ですね。どこかで勉強されたのですか?」


「ふふふ、趣味で少しばかり。そう言うジャンヌさんも中々の腕前ですね」


 鍋を前にアン・ズーとジャンヌさんが話し合う。

 二人の距離も今では近い。


 そして、ジャンヌさんの視線が動く。

 ラザーちゃんの動きに目を止めた。


「ラザーちゃん、一緒に選びましょうね? それはこの料理に合わないから」


「そうなんですか? それじゃあ、合う食材を教えて下さい!」


 どうやら、ラザーちゃんの暴走を止めたらしい。

 ジャンヌさん、グッジョブだ!


 そして、ラザーちゃんもジャンヌさんに懐いている。

 こう見ると完全に親子だね。


「話をしながら、良く気付かれましたね……」


「以前は、悪戯好きな息子が居ましたからね」


 亡くなった息子に、手を焼かされたのだろう。

 その経験が生きているらしい。


 一瞬、過去に触れた事には不安を覚えた。

 しかし、彼女の声に陰は無かった。


 ……どうやら、ジャンヌさんは既に、過去の悲劇を乗り越えていたらしいね。


「ふふっ、ライラさんも子供が出来れば、嫌でも覚える事になりますよ」


「なるほど。子育て経験ですか。確かにそれは、未知の領域ですね……」


 アン・ズーは悪魔だからね。

 子供を作る事自体が出来ないんじゃないかな?


 他人事と思って考えていました。

 しかし、話は思わぬ方向へと飛び火する。


「……所で、ライラ様とアルフ様は、そういう関係なんですか?」


「ふふふ、残念ながら違いますね。特に恋愛感情は御座いません」


 うん、そうだよね。

 でも、はっきり言われると、少し落ち込むオレが居る。


 もう少し男として見て欲しい。

 そんな気持ちが、沸いて来る訳ですよ……。


 そんな事を考えていると、更に話がとんでもない方向へ向かう。


「そうなんですか? ふふっ、私が後十年若ければ、お相手願いたい所ですけどね」


「何を仰います。ジャンヌさんはお若いでしょう? まだまだ現役ではないですか」


 そういう、はしたない話は良く無いと思う。

 女性はもっとお淑やかにね。


 ほら、ラザーちゃんも聞き耳立ててるしさ?


「……それはつまり、お止めする気は無いと言う事ですか?」


「アルフ様が望むなら、ワタクシはお止め致しませんが……」


 二人の視線がこちらに向かう。

 つまり、オレの意思次第って事ですか?


 ……いや、何でジャンヌさん焚きつけてんの?!

 目が本気になってんじゃん!


 何だか背中がゾワゾワする。

 これって、貞操の危機って奴ですかね?


「顔立ちはまだ幼いですが、良い体をされていますよね?」


「剣の稽古を欠かさず行っています。その成果でしょうね」


 あ、気付いて貰えて少し嬉しい。

 そう、オレの筋肉がちょっと付いたのだ!


 以前に比べれば、良い体になりました。

 今まで誰にも言えなかったけどさ!


「ふふっ、久しぶりに火が付いてしま……」


「――そういうの、良く無いと思います!」


 唐突に叫ぶラザーちゃん。

 顔を赤くして、ちょっと怒った顔をしている。


 うん、ラザーちゃんの言う通りだ!

 子供の前でする話じゃないよね!


 そして、二人は目を丸くし、顔を見合わせる。

 そして、クスクス笑い出す。


「あらあら、そういうこと? ふふっ、冗談ですから安心してね?」


「当然です。決めるのは我々では無く、ご主人様なのですからね?」


 その言葉に、ラザーちゃんは唖然とする。

 そして、恥ずかしそうに俯いてしまう。


「じ、冗談だったんですね。すみません、大きな声を出して……」


 顔を真っ赤にするラザーちゃん。

 でも、オレは間違ってないと思うよ?


 ラザーちゃんの行動は正しい!

 ラザーちゃんだけがオレの味方だ!


 てか、最近のアン・ズーは何なんだろうね?

 少し様子が違う気がする……。


 だが、その疑問もすぐに霧散する。

 ラザーちゃんが二人に撫でられる姿を見て。


 オレは意識を入れ替え、再び剣の稽古に集中するのだった。

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― 新着の感想 ―
[良い点] 元人妻の加入。 見かけによらずジャンヌさん、積極的ですね。 それに嫉妬するラザーちゃんも可愛いです♪
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