【幕間】????の物語
ああ、我が親愛なる友――よ。
美しき我が黄金の君よ。
人類を愛し、人類から愛された英雄。
人類の至宝にして救世主よ。
――なぜ、君は死んでしまったのだ?
多くの人々を救って来た。
多くの国難を解決して来た。
如何なる魔物も倒して来た。
多くの悪人を懲らしめて来た。
私と君で紡いだ物語は、どこまでも美しく、楽しいものだったのに……。
君は人類に裏切られたのだね?
人類の悪意に呑まれたのだね?
君が全てを愛そうとも、全ての人類は君を愛してはくれなかったのだね?
ああ、何て悲しい物語なのだろう。
こんな悲劇が許される訳がない……。
――だから、私が復讐せねばならない。
全ての人類に終わりを齎そう。
君の無念を彼等に知らしめてやろう。
人類は自らの悪意で滅びるのだ。
その報いによって滅びるのである。
君の理想を否定した者どもに、その愚かさを理解させてやるのだ。
――その為に、私は悪魔となろう。
人類は魔王と数百年の戦いを続けている。
人類の脅威は魔王と勘違いしている。
だが、そうではない。
人類最大の脅威は、その身の内に潜んでいるのだ。
人類が持つ負の感情こそが、滅びを齎す全ての元凶なのだから……。
……だが、今の私には力が無い。
君の終わりで、多くの力を失ってしまった。
まずは力を取り戻さねば。
いや、以前を超える力を手に入れねばならない。
私は魔王すら超えてみせる。
人類を滅ぼす力を手に入れてやるのだ。
――その為に、全てを利用してやる。
私には知恵がある。
我が友より譲り受けた、人類最大の叡智が宿っている。
この力をもってすれば、全ての人類を騙し通す事だって出来るのだ。
人々を救った友の力が、今こそ人類を滅ぼす力へと変わる時なのだ。
待っているが良い、愚かな人類よ。
貴様らの滅びはそう遠く無い。
我が復讐のシナリオは、既にもう書きあがっているのだから。
そう、これは私と友が紡ぐ物語。
その物語の続きなのである……。
――これは人類が滅びるまでの、千夜一夜物語なのだから。
「第一章 アルビオンの悪魔」が終了しました。
引き続き、第二章もお楽しみ下さい!
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