ある男と相棒のクリスマスパーティ
「よぉ、相棒起きたか」
見た目に似合わず綺麗好きな男は、相棒の竜より早く起きたため、洞窟の掃除をしていた。
グルルル
安心仕切った表情で二度寝を始める竜。
「全く、相棒が遠出したいって言ってたから、今日から明日にかけて遠征届けだしておいたのになぁ」
グ、グル!?
ガバッと竜が起き上がる。
目がキラキラしている。
頭が天井すれすれになる首を伸ばし、期待した眼差しだ。
「おう、相棒が行く気あるなら俺はどこまででも行くぜ?」
キューー
久しぶりに聞いた甘えた声に男が目を丸くする。
手を竜に向かって伸ばすと竜は頬を擦りつけてくる。
「久しぶりに甘えたな。いつも相棒は俺の立場に合わせて気をはっているからたまにはゆっくりしよう」
竜はハッとした表情をして顔をそらしながらもご機嫌そうだ。
男は、一国の竜騎士隊の威厳ある第一隊長だった。
竜もまた彼に合わせて、気高き竜と名高い。
しかし、それは役職のある二人(一人と一匹)の話。
素の彼らは、かなりやんちゃである。
男が「竜と過ごしたいから」という理由で、クリスマスパレードをすっぽかして二人で出かける許可を国王からもぎ取ってきてしまうくらいには。
この国では、竜と竜騎士の絆が大切にされるから、大衆的には問題ないが、国王は本当の理由を見通していたので少しムッとしていた。
さて、やんちゃな二人がどこに向かうかというと、魔物が多く立ち入り禁止にされている雪山だ。楽しそうに喉を鳴らす竜と、二人で絆を深めるために行く旅行にしては重武装な男。
「さぁ、俺らのクリスマスパーティは雪山魔物狩りだ!」
興奮しきった様子の二人は、魔物が多く普通は中隊ほどで討伐に向かう雪山に向かい住処の洞窟から飛び出していった。
帰ってくる予定をすぎても魔物を殺し回っていたために、彼の持つ竜騎士隊の一部が捜索隊として出され、こっぴどく国王から怒られるのは、それから二日後の話。
ちなみ男らは、毎月ある討伐が3ヶ月はしなくていいほど魔物の数を減らしてしまった。
それも含め、王に「毎月討伐に行くことの意味を隊長でありながら理解していないのか」と怒られたのは言うまでもない。
実は今日、自分の誕生日だったりします(笑)
メリークリスマス(イヴ)。