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遺したい気持ち  作者: bashi
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彼岸花が咲いて

 もうすっかり秋である。その証拠に、家の周りの田んぼには真っ赤に染まった彼岸花が沢山咲いている。草が少し枯れて黄緑色になった土手に彼岸花の赤い絨毯(じゅうたん)が一面に敷かれているかのようなきれいな景色である。秋の里山らしい光景だ。


 最近また小説が書けなくなった。かつての情熱はどこに行ってしまったのか?彼岸花は能々(よくよく)と咲き誇っているのに、僕は全然先に進めていないのである。


 そして、もう秋なのだ。自分にはもう時間がないのだ。自分は30歳になる前に死のうと思っているから、今が大事なのだ。しかし、社会から見たら、今の自分は全く誇れない。後ろ指を指されるだけの存在だ。僕は、社会に対して恥ずかしくない、貢献していると評価されたいが、ウシジマくんに出てくるキャラクターのようにまるっきしダメな人間であるのが僕なのである。真面目であり、自分に厳しい人から見たら、僕はクズなのだ。だから30歳前に死のうと思うのである。いい大学を出ていない自分なんてゴミなのだ。そんな僕を見て、なんて情けない、早く死ねよと思われる人も多いと思う。自分もごもっともだと思う。今している勉強も、努力も、社会一般からしてみれば、何にも努力していないのと同じだ。自分の頑張りなど、社会一般に照らし合わせると、何にもないのだ。努力、頑張りなどと到底呼べないものなのだろう。


 そうであるから、世間に迷惑をかけないように、早く死にたいのだ。自分は結婚して子供を育てるのは無理だろうし、そもそもしたくない。しかし、何かしら社会に対して恩返しがしたい。こんなダメな自分を生かしてくれてありがとうございます。社会世間様の要求通りに迷惑をかけないために死にますから、どうか死ぬ前に社会貢献をさせてください。こう思い勉強も自分なりにしていこうと思う。今は末期の頑張りをしよう。


 彼岸花の寿命は短い。秋に咲き、冬に枯れる。秋の黄昏の中で生き、冬の寒々しい終末にその命を散らすのだ。僕に一抹の勇気があれば、そんな彼岸花のようにぱっと散ることができるのに、臆病であるからできないのだ。後数年の間に、勉強して社会貢献する中で人生に区切りをつける準備をしよう。今は僕にとって黄昏である。今が人生を振り返り総括させる重要な時期だ。世間様に迷惑をかけないように、万全の準備をしていこう。彼岸花が咲き誇る小丘を眺めながら・・・。

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