桃太郎ゲームブック
ノリと勢いだけで書きました。某ゲームをリスペクトし、AからZまで26種類のエンディングを用意しています。
【1】むかしむかしあるところに、おじいさんとおばあさんがいました。おじいさんはやまへしばかりにいきました。おばあさんは――『かわへせんたくに』→【2】/『おじいさんについていく』→【3】
【2】おばあさんはかわへせんたくにいきました。すると、かわかみからどんぶらこ、どんぶらこと、ももがながれてきました。おばあさんはももを――『ひろう』→【4】/『ひろわない』→【5】
【3】おばあさんはおじいさんについていきました。すると、おばあさんはあるものをみつけました――『たけをみつけた』→【6】/『かんばんをみつけた』→【7】
【4】おばあさんはももをひろいました。「なんておおきなももだろう!」これはもちかえるのもひとくろうです。おばあさんは――『ひきずってもちかえる』→【8】/『ころがしてもちかえる』→【9】
【5】お婆さんは桃を拾わなかった。流れていく桃。失われる命。空は澄んだ青色に染まり、滝坪へ落ちていく桃をただ見つめるだけだった……【dive to 「D」eep】【Dエンド】
【6】おばあさんはたけをみつけました。「おじいさん! たけ! このたけひかってますよ!」「な、なにぃ~!?」これにはびっくりろうふうふ。ふたりは――『たけをきった』→【10】/『たけをきらなかった』→【11】
【7】おばあさんはかんばんをみつけました。そこには「くまにちゅうい!」のもじ。するととつぜん、ふたりのまえにくまが! おじいさんは――『くまとたたかった』→【12】/『くまからにげた』→【13】
【8】おばあさんはももをひきずってもちかえりました。いえにかえるとすでにおじいさんがいました。「どうしたんじゃそのもも!」「かわでひろいました」「お、おう……」いえにももをいれると、おばあさんは――『ももをきった』→【14】/『ももをほっといた』→【15】
【9】お婆さんは桃を転がして持ち帰った。桃の中から悲鳴のような音がする。家に着く頃には、桃の色はより鮮やかな赤色になっていた……【bloody 「P」each】【Pエンド】
【10】ふたりはたけをきりました。するとなかからかわいらしいおんなのこが!「たいへんじゃ! とりあえずつれてかえろう!」「じあんですねぇ」「やかましいわい!」→【16】
【11】二人は竹を切らなかった。普通に柴刈りをした。「さぁて、もう十分集まったし、帰るかのぅ」「そうしましょうか」その後も二人はなんだかんだ幸せに暮らしましたとさ。めでたしめでたし。【no d「R」ama】【Rエンド】
【12】お爺さんは熊と戦った。それは三日三晩に及ぶ死闘だった。既に互いの体力は底を尽き、気力が勝負を分ける局面となっていた。「グォォアアアア!!!」咆哮する熊。繰り出される爪をお爺さんは紙一重で避け「破ッ!!!」カウンターを叩きつける。勝負はここに決着した。「……婆さんや。今夜の飯は――」【kumanabe「J」a】【Jエンド】
【13】普通に考えて老夫婦が熊から逃げ切れるわけがありませんでした。残念。【「E」scape failed】【Eエンド】
【14】おばあさんはももをきりました。するたなんということでしょう! なかからかわいいおとこのこがでてきたではありませんか! ふたりはこのおとこのこをそだてることにしました。「ようし、ももからうまれたから、なまえはももたろうにしよう!」→【17】
【15】お婆さんは桃を放っといた。それから数日。桃は明らかに腐っていた。「さすがに捨てますか」「そうじゃな」桃は再び川へ捨てられてしまいましたとさ。【ri「V」er again】【Vエンド】
【16】とりあえずおんなのこをつれてかえったふたりは、このこをそだてることにきめました。「なまえをつけねばのう。このこのなまえは……」――『かぐやひめじゃ!』→【18】/『たけこじゃ!』→【19】
【17】ももたろうとなづけられたおとこのこはすくすくそだちました。そして、すうねんごのあるひのこと。ももたろうはふたりにいいました。「おじいさん、おばあさん、ぼくは……」――『おにたいじにいきます』→【20】/『ほんとうにふたりのこなの?』→【21】
【18】かぐやひめとなづけられたおんなのこはすくすくそだちました。すうねんごのあるひのこと、かぐやひめはふたりにいいました。「おじいさん、おばあさん。じつはわたし、つきにかえらなければならないの」→【22】
【19】たけことなづけられたおんなのこはすくすくそだちました。すうねんごのあるひのこと、たけこはふたりにいいました。「おじいさん、おばあさん。わたし、おにたいじにいきます」→【23】
【20】「ぼくはおにたいじにいきます」これにはびっくりろうふうふ。「ほ、ほんきか?」「ほんきです」「ほんきなのか……」ももたろうはおににおびえるむらびとたちをみていられませんでした。だれかがおにをたいじしなければ。ならば、ぼくがやろう。「わかった。ばあさんや」「はい」――『きびだんごをつくっておやり』→【24】/『とびきりおいしいきびだんごをつくっておやり』→【25】
【21】「僕は本当に二人の子なの?」「……」「僕……二人の子供だって育てられてきたけど、明らかに祖父母と孫くらい年離れてるし……てゆーか、僕もお爺さんお婆さんって呼んじゃってるけど……ねえ、二人とも」「……」「僕の本当の親はどこにいるの?」「……」……【s「Y」uraba】【Yエンド】
【22】満月の日。月からの迎えはもうすぐそこまで迫っていた。「さようなら、お爺さん、お婆さん。わたしは二人のもとで過ごせて、とても……とても、幸せでした」残されたのは、涙で見送る二人の老夫婦だけだった。【「N」ayotake no himegimi】【Nエンド】
【23】「お、おにたいじ!? おまえはおんなのこじゃぞ!?」「おじいさん、それはせいさべつですよ。いまどきのおんなのこはたたかうものなんです」「すまん……」たけこはほんきでした。ほんきで、むらをすくおうとしていました。「つきましてはわたし……」――『きびだんごがほしいのです』→【26】/『かもめのたまごがほしいのです』→【27】
【24】ももたろうはきびだんごをてにたびだちました。さて、まずはおにたいじをともにするなかまがひつようです。そこへあらわれたのは――『いぬ』→【28】/『うさぎ』→【29】
【25】ももたろうはとびきりおいしいきびだんごをてにたびだちました。さて、まずはおにたいじをともにするなかまがひつようです。そこへあらわれたのは――『いぬ』→【30】/『うさぎ』→【29】
【26】「わたし、きびだんごがほしいのです」「よういしましょう」「ええ!? ほんとうかばあさん!?」「ここはおかやま。きびだんごをよういするなどぞうさもないことですよ」おばあさんはさんじゅっぷんたらずでたくさんのきびだんごをよういしました。「ありがとう、おばあさん。わたし、いってきます」→【31】
【27】「わたし、かもめのたまごがほしいのです」「かも……え? なんですか、それは?」「え? おかしですよ。あの、ほら。いわてけんの……」「いわてけん?」「え?」ふたりのかいわはどこかちくはぐです。「ま、まあ、わかりました。とりあえずつくってみましょう」そのごおばあさんはかもめのたまごを――『よういできた』→【32】/『よういできなかった』→【33】
【28】「わんわん。いぬだよ。おなかがへったな。きびだんごをおくれ」「おともになるならあげましょう」「なるなる。なりますとも」「よし。ほら、きびだんごだ」「やっり~」いぬがなかまになった!→【34】
【29】「うさぎです。おなかがへりました。おめぐみを……」「おともになるなら……いや、なんてかわいいうさぎなんだ。ほら、きびだんごですよ」「ひょえ~ありがたや~。わたし、おれいにあなたについていきます」「かわいいやったー!」うさぎがなかまになった!→【35】
【30】「わんわん。いぬだよ。おなかがへったな。きびだんごをおくれ」「おともになるならあげましょう」「なるなる。なりますとも」「よし。ほら、きびだんごだ」「やっり~……ってうまぁ! このきびだんごうんまぁぁっっ!!!」「ええ!?」「ほらごしゅじんもたべて!」「じゃ、じゃあ……う、うまぁぁ!」なんだかんだでふたりはきびだんごをたいらげてしまいました。→【36】
【31】そしてたびにでたたけこ。まずはおともがひつようです。そこへあらわれたのは――『いぬ』→【37】/『おおかみ』→【38】
【32】「ほうら、かもめのたまごですよ」おばあさんはたくさんのかもめのたまごをつくりました。「でもちゃんとできてるかどうか……ちょっとあじみしておくれ」たけこはためしにひとつたべてみました。「こ、これは……っ!」→【39】
【33】「ごめんなさい、竹子」お婆さんはそう呟いた。お爺さんの表情も暗い。「わたしの腕では……かもめのたまごは、作れなかったわ……」「いえ、悪いのは私です、お婆さん。これはもしかして……旅は危険だという、神からのお告げなのかもしれません」「竹子……」結果的に竹子は旅には出なかった。煮え切らない思いは口に出ることは無かった。竹子の、優しさ故に。【「Q」uietly】【Qエンド】
【34】つぎにあらわれたのはさるです。「うきー。きびだんごをもってるな? くれたらおともになってやるぜ!」「なめたくちきいてんじゃねぇぞさる!」「おちつきなさいいぬ」しゅじゅうかんけいがふりょうのそれです。なんだかんだでさるもなかまになりました。→【40】
【35】それからと言うものの、現れる困難は全てうさぎの可愛さが解決してくれた。そして鬼ヶ島。「……お前らが桃太郎とうさぎか」「そうです。うさぎですよ。もふっ」「かわいい(キュン死)」世界に平和が訪れた! めでたしめでたし!【「U」sagi is justice】【Uエンド】
【36】「なあ、犬。お前そんな太ってたっけ」「ご主人こそ」とびきりおいしいきびだんごでグルメに目覚めた二人。気が付けば鬼退治のことなどすっかり忘れ、ただ美味しいものを求める旅を続けてしまうのだった……【fat boy,fat do「G」】【Gエンド】
【37】「犬ですよ。わんわん。おともになるからきびだんごを」「可愛いだけの動物なんていらないわ」犬、辛辣竹子様のお眼鏡にはかなわなかった模様。「幸先悪すぎ。最悪。もう旅なんてやめようかしら」「あ、あの……」「何?」「ごめんなさい……」犬は何も悪くない。【unreasonable 「W」orld】【Wエンド】
【38】「わたしはうえたおおかみ。たべものをださなければおまえをたべてしまうぞ」あやうしたけこ! しかし!「ほら、きびだんごよ。たーんとおたべなさい」「う、うまい!」おかやまみやげはぜっぴんだった!「あなた、なかまになりなさい」「よろこんで!」おおかみがなかまになった!→【41】
【39】「お、美味しい……お婆さん。わたし、鬼退治ではなく岩手に向かうわ」「ええ!?」「こんなに美味しいもののあるところよ。行ってみたくなったの」そうして旅に出た竹子。向かう先は北東北、岩手。【「I」wate ni oideyo】【Iエンド】
【40】つぎにあらわれたのはきじです――『とりのきじ』→【42】/『しんぶんきじ』→【43】
【41】つぎにあらわれたのはごりらです。「うほうほ。はらがへった。なにかくれ」「こぶしのあじ、たしかめてみる?」「あねさん、はっそうがぶっそうですぜ!」くれてやったのは――『きびだんご』→【44】/『こぶし』→【45】
【42】「きょーん。きょーん。なにかおくれ」とりのきじです。ももたろうはきびだんごをあげました。「うまい、うまい。おれいにあなたのおともになりましょう」「ところできじってきょーんってなくんですか?」「……」きじがなかまになった!→【46】
【43】『【号外】鬼ヶ島、滅ぶ 謎の少女、狼、ゴリラ、不死鳥の手により鬼ヶ島が壊滅した――』「……」「鬼ヶ島、滅んじゃってますね」なんだかんだ、ここから先、無駄な旅をせずにすんだと、桃太郎はそう思うのだった。【positive 「T」hinking】【Tエンド】
【44】「なんだ、これっぽっちしかないのか」ゴリラはきびだんごをたいらげてしまった。これでは新たな仲間が得られない。「あんた、どうしてくれるのよ」「知らん」そうして森の奥へと帰るゴリラ。数日後、食料を失った竹子たちは遂に倒れてしまうのだった……【「L」ost food】【Lエンド】
【45】「ぬるいわね」たけこはこぶしでごりらをくっぷくさせました。「ひぇえ、つよい。ぜひ、おれをでしにしてくれ」「こうじょうしんのあるやつはきらいじゃないわ。おおかみ、あなたもみならいなさい」「いえす、さー」ごりらがなかまになった!→【47】
【46】さて、おともがさんびきになったももたろうたち。ここできびだんごがそこをつきてしまいます。「しょうがない、たべものをさがそう」ももたろうたちは――『つりをする』→【48】/『きのみをさがす』→【49】
【47】つぎにあらわれたのはふしちょうです。からだがほのおでできていました。「あなた、いいわね。わたしのなかまになりなさい」「われをしたがえようとするとはおもしろい。なれば、ちからでしめせ!」あついたたかいのひぶたがきっておとされました。→【50】
【48】ももたろうたちはつりをしました。おや、なにかつれそうです→【51】
【49】ももたろうたちはきのみをさがしました。どうぶつたちははながいいので、どれがたべられるものかすぐにわかります。「きみたちをなかまにしてよかったなぁ」「ご、ごしゅじん……!」いいはなしですね。→【52】
【50】たけこはぜんせんしていました。もちろんおおかみとごりらのさぽーとあってのことですが、とてもひとのごうとはおもえませんでした。ですがふしちょうもまけていません。なんどけちらしてもすぐよみがえります。たけこのたいりょくも、もうなくなりそうです。たけこは――『あきらめた』→【53】/『あきらめなかった』→【54】
【51】あじです。あじがつれました。「なんかつかれたし、このあじ、たべてみようかな」→【55】
【52】きのみでおなかもふくれたももたろうたち。いよいよおにがしまにむかいます。ふねは――『きでつくった』→【56】/『ない。およぐ』→【57】
【53】遂に竹子は膝を着いた。「竹子ッ!」狼が吼える。竹子のことは狼に任せ、ゴリラは腕を振り抜いた。不死鳥に直撃。炎が飛び散ったかと思うとそれは直ぐに再集合し、鳥の形を成す。「さて、頃合いだ。終わらせてやろう――我が永遠の炎でな」炎の勢いが増す。竹子達にはもう、為す術が無かった……【eternal phoeni「X」】【Xエンド】
【54】「まだ……まだよっ!」たけこはあきらめませんでした。ですが、こころはたもててもからだはついてこれず……「おもしろい。まさかここまでたのしめるとはな」きがつくと、たけこのからだはふしちょうのほのおにつつまれていました。しかしそれはあつくはなく、ここちよいあたたかさでした。「そのふくつのとうし、まさにわれのしゅじんたるにふさわしい。さあ、いつしゅっぱつする? われもどうこうしよう」ふしちょういんがなかまになった!→【58】
【55】この世界の鯵には、特殊な毒があった。その毒は熱すれば消えるものであったが、生で食べると全身の血液を凝固させてしまうというとても危険なものだった。「ご主人! ご主人!」犬が吼える。しかし、桃太郎にその声が届くことはなかった……【aji wo 「K」utta】【Kエンド】
【56】きでつくったふねで、ももたろうたちはおにがしまへむかいます。「さあ、いよいよおにがしまだ。みんな、がんばるぞ!」「おー!」まもなくじょうりくです。→【59】
【57】いぬかきのできる犬。器用な猿。飛べる雉。泳いだことなどろくに無い桃太郎。「……ごめん。僕らの旅は、ここまでだ……」【can't 「S」wim】【Sエンド】
【58】おおかみ、ごりら、ふしちょうをつれたたけこは、いよいよおにがしまにかちこみにむかいます。「でも、どうやっていこうかしら」「われにいいかんがえがある」「ふしちょうしれい」「はぁっ!」ふしちょうがうみへとびこむと、なんと、うみがわれてみちができました。えいえんのほのおのなせるわざです。「さあ、いきましょう」→【60】
【59】「ぐへへ、おにやで!」おにがしまにはおにがたくさんいます。「よし! ここは――」『みんなでたおそう!』→【61】/『わかれてたおそう!』→【62】
【60】「ぐへへ、おにやで!」おにがしまにはおにがたくさんいます。「よし、ここは――」『みんなでいきましょう』→【63】/『わかれていきましょう』→【64】
【61】「よし! ここはみんなでたおそう!」いっちだんけつしたももたろうたち。たがいがたがいのじゃくてんをおぎないあい、そのちからはなんばいにもあがりました。つぎつぎおにをたおすももたろうたち。ついに、あとはおにのおやぶんをのこすだけになりました。→【65】
【62】「よし! ここは分かれて倒そう!」しかし個々の力はそう大きくない桃太郎たち。犬が、猿が、雉が、為す術無く倒されていく。桃太郎は最期の時を悟った。鬼が金棒を振りかざす。頭上には煌々と、紅い月が輝いていた。【scarlet 「M」oon】【Mエンド】
【63】「よし、ここは皆で行きましょう」しかし個々の力が強すぎる竹子たち。密集しては互いが互いを邪魔しあい、全力を出せない。不死鳥の炎で狼の毛皮が焼ける。狼の爪がゴリラを切り裂く。ゴリラの豪腕が不死鳥を消し飛ばす。もはや敵味方の区別がつかないほど混沌とした戦場。狼の牙が竹子を貫いたことに、気付く者はいなかった……【cha「O」s field】【Oエンド】
【64】「よし、ここはわかれていきましょう」たけこたちはよんちーむにわかれました。きたのおにをたけこがしりぞけ、ひがしのおにをおおかみがきりさき、にしのおにをごりらがくだき、みなみのおにをふしちょうがやきました。よにんはしまのまんなかでもういちどあつまりました。いよいよ、おにのおやぶんとのさいしゅうけっせんです。→【66】
【65】「よくきたなももたろう」おにのおやぶんはとてもおおきく、とてもじゃあくです。たたかうまえからももたろうはふるえていました。でも――「だいじょうぶですごしゅじん!」「だいじょうぶだぜ!」「きょーん!」「――うん! いくぞ!」こころづよいなかまといっしょなら、きっと、たたかえます。→【67】
【66】「よくきたなたけこ」おにのおやぶんはとてもおおきく、とてもじゃあくです。ですがたけこはへいぜんとしています。「ふしちょうとやったときのほうがまだくろうしたわ」そして、たたかいがはじまりました。→【68】
【67】おにのおやぶんとももたろうたちとのたたかいは、さいしゅうきょくめんにはいっていました。みんなのことをかんがえると、つぎがさいごのいちげきになりそうです。「くらえ!」おにのおやぶんのいちげきをかわしました。そしてみんながみちをつなぎ、ももたろうはおにのあたまへねらいをさだめました。ねらうのは――『みぎのつの』→【69】/『ひだりのつの』→【70】
【68】おにのおやぶんとたけこたちのたたかいは、さいしゅうきょくめんにはいっていました。なんだかんだけっこうつよいおやぶんにみんなくせんしていましたが、それもあとすこし。たけこはわずかなすきをつき、ぶきであるたけやりをなげました――『みぎのつのに』→【71】/『ひだりのつのに』→【72】
【69】ねらうのはみぎのつのです。「てやぁ!」ももたろうはおにのみぎのつのをくだきました。みぎのつのにあつめられてたせいなるちからがあふれだし、おにのからだをけしていきます。「ふ……わたしの、まけか……」おにのおやぶんはさいごにいいました。→【73】
【70】狙うのは左の角。桃太郎の一撃は左の角を粉々に砕いた。集積されていた邪悪な力が溢れ、一味を飲み込む。「ぐぁ……ッ!」命が吸いとられる感覚。ここぞという時に、何故自分はこちらの角を狙ったのか。鬼が嗤う。「この呪いは倒された鬼たちの地獄よりの怨念。残念だったな、桃太郎」遠退く意識を、後悔が埋め尽くす……【from 「H」ell】【Hエンド】
【71】みぎのつのにあたったたけやりはおおきなおとといっしょにくだけました。おれたつのからせいなるちからがあふれだし、おにのからだをけしていきます。「ふ……わたしの、まけか……」おにのおやぶんはさいごにいいました。→【74】
【72】竹槍が左の角を砕くと同時、そこから溢れ出した呪いが竹子達を捉えた。「最後の最後で……こんな、ミスを……ッ!」歯噛みする竹子に、鬼が嗤いかける。「己の過ちで命を落とすとは滑稽も滑稽! 終わりだ!」その声は、竹子に届くことは無かった……【「F」inal mistake】【Fエンド】
【73】「おまえたちは……おにか?」→【75】
【74】「おまえたちは……おにか?」――『いいえ、ちがうわ』→【76】/『ええ、そうよ』→【77】
【75】「ちがう。ぼくはももたろう。ひとだ。ひとのからだで、どうぶつたちとちからをあわせて、おまえをたおした」ももたろうはちからづよくいいました。「そうだな……そのとおりだ。だが、つぎにこうきかれたら、ひとであろうとするな」そしてさいごに、おにはこういいました。→【78】
【76】――『わたしはひとよ』→【79】/『でも、ひとでもないわ』→【80】
【77】「ええ、そう。わたしは鬼よ。鬼を打ち負かせるほどの脅威が、人の世にとって鬼でないはずがないわ」竹子がそう言うと――尽きたはずの力で、鬼の親分は竹子の胸を貫いた。お供たちが皆反応しようとするが「来ないで!」竹子がそれを押し止める。「わかってるわ……これで、いいの」「くく……ああ、そうだ。お前も鬼であるというのなら……ここで、我らと共に朽ち果てよう。最後にして、最悪の同胞よ」こうして竹子の長い旅は、幕を下ろした――【「B」ad last guilty human】【Bエンド】
【78】「私の魂は、やがて地獄へ行くのだろうな。だが、ここ鬼ヶ島は、鬼たちにとっての天国であった」「鬼たちの……天国……」桃太郎が呟く。「なに、後悔するな。お前たちは一つの天国を滅ぼし、平和な人の世というもう一つの天国を作り出した。そこに迷いなどあってはならぬ」そう言い残し、鬼は姿を消した。人の世の英雄、桃太郎の長い旅は、ここに幕を下ろした――【「A」nother heaven hero】【Aエンド】
【79】「わたしは人よ。人の身で、鬼を滅ぼした。相容れられる道理もないわ」言うと鬼は高らかに笑った。「ハハハッ! そこまでくれば私も清々しく消えられるというもの! さらばだ! 人の世の英雄よ!」そう言い放ち、鬼は姿を消した。人の世の英雄、竹子の長い旅は、ここに幕を下ろした――【「C」ool beauty bamboo girl】【Cエンド】
【80】「鬼の命を喰らっておいて、どうして人だなんて名乗れるのかしら。わたしは鬼の命を喰らった人間、そして、その命を持ち続けると決めた鬼よ。どちらでもあるわたしはどちらでもないわ。ここまできて、わたしは意地汚く人であろうとは思わない」竹子はそう言い放った。聞き届けた鬼は、一瞬だけ不思議そうな顔をする。「……鬼であるかという問いかけに、人であろうとはしないと返す。こう答えられた者のみが、鬼の真実に辿り着ける。お前は何故、こう答えられた?」「さてね。案外、全てを知っているのかもよ」おどけてみせる竹子に、鬼は高らかに嗤いかけた。「ハハハッ! であれば鬼の真実などいらぬか! お前にはただ、ここまで来ることができたという栄誉だけが残る! 嗚呼、なんということだろうか!」そう言って、鬼はその姿を消した。「やれやれ。一苦労だったわ。世界を救うのも案外楽じゃないのね」そして竹子は振り返り、お供たちに告げる。「人でも鬼でもないわたしは、何なのかしらね?」その問いには、代表して狼が答えた。「まあ……ヘタにかっこつける必要もありません。珍獣動物園の園長、あたりが無難かと」「……なによそれ」そうは言いつつ、救われたように微笑む竹子。その長い旅路は、今ここに幕を下ろした――【the end of the 「Z」oo keeper】【Zエンド】