プリン争奪戦③
午前中の授業が終わり待ちに待った給食の時間になった。僕達は机を並べて給食の準備をする。
「秀将!ついにきたよアレの時間が」
「あぁ、第1月曜日に行われる重要なアレがな」
「アレって?」
僕と秀将が燃えてる中、不思議そうに声をかける昴に綾が説明する。
「えっとね、月に1度、第1月曜日にプリンが出てくるの、それで2人はこんなに燃えてるのよ」
「…というと、中学生2年生にもなってプリンでこんなに盛り上がってる訳ですね」
「男子は馬鹿ばかりだから…」
何か馬鹿にされているが僕の頭ではそれどころではなかった。僕は冷静に今の状況を推理する。このクラスは昴が入った事で、丁度40名になった。その内、今日は田中と齡の2名が欠席、つまり栄光のプリンロードに到達できるのは2名。問題は何名が立候補するかだ。前回のプリン争奪戦は8名だった為、プリンロードに到達できる確率が4分の1この可能性ならば
「あっち向いてホイで勝つレベルの難易度!これならいける!」
僕は勝ちを確信した。
「フッ考えが甘いな悠平」
「なに!」
「確かに、前回の人数から推測するのは悪くはない、だがそれはあくまで立候補の人数しか推測していない」
「…しまった!」
「そう、前回のプリン争奪戦立候補は8名だった…だが栄光のプリンロードは一つしか用意されてはいなかった。つまりは前回の到達確率は8分の1だったのさ」
「…くっ…それじゃあっち向いてホイを2連続で勝たないといけない確率なのか…」
(しまった僕とした事が、完全に盲点を突かれた!これが…前回唯一プリンロードに到達できた男の推理力か!)
「あっち向いてホイに2連続勝つ確率って8分1じゃないわよね?」
「えぇ…そもそもあっち向いてホイに勝つ確率は、最初のジャンケンにも勝たないといけないので、4分の1でもないはずですし…」
「今の2人には聞く耳もたずね」
僕と秀将の推理が終わりついに、栄光のプリンロードに到達を狙う戦士達が揃う
「えぇと、それではプリンが余ってるので、プリンが欲しい奴は挙手」
僕と秀将は周りを見渡すがその時、2人に戦慄が走った。僕の光景に映ったその先には数十本の腕柱がある。
「そんな馬鹿な!」
秀将は机を叩き、机を引っ付け合う他の席の机にも振動が伝わる
「何故だ、前回のプリン争奪戦にこんな人数はいなかった…せいぜい増えても2〜3人だろ!それが…」
秀将の拳が強く握られる
(確かに僕達の推理には欠点はなかった、前回のプリン争奪戦が8名だった事も間違いがないなら何故………)
その時、僕は最大のミスに気付いた。
「秀将……僕達は大きな勘違いをしてたみたいだ……」
「…勘違いだと…待て俺の推理した数字に勘違いなんてなかった」
「うんそれは僕も知ってるよ…だから数字じゃないんだ」
「数字じゃ………ハッ」
「そう…僕等はずっと言葉にしていた前回のプリン争奪戦と…」
「そういう事か…」
「うん…プリン争奪戦は毎月の第1月曜日に行われるしかし先月の第1月曜日は…」
「4月1日の春休み…つまりはプリン争奪戦は行われていない」
「だから、僕達が記憶している前回のプリン争奪戦は」
「3月つまりは…」
「「一年生の時のクラス!!」」
僕達は、ようやくこの状況を把握する事ができた。
「えーと、挙手したのは18名…それで…欠席者は2名だな」
先生がプリン争奪戦の準備を始める
「しかし…まさか一年生の時の倍の人数が、プリン争奪戦の戦士だなんてな…」
「全く…ゴールデンウィーク明け早々にこんな戦場になるなんてね…まるでクリスマスの時以来だ…」
「プリンロード到達人数は2名」
「一筋縄ではいかないね…」
「あぁ…」
「「一人ならな!!」」
僕と秀将は互いの拳をぶつける
「一時休戦だ!悠平!」
「うん、一緒にプリンロードに行こう!秀将!」
僕と秀将は大きな絆で結ばれた!
「…でも齡はアレルギーでプリンは食べられないから…プリンは一個だな!よーしそれじゃあ始めるぞー」
先生のその言葉で僕と秀将の絆は崩壊した……