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第8話

本日2話目です

悪役が上手く書けない……

コールは先程よりも断然顔色がだいぶ良くなっている。

この分ならきっと大丈夫だとサリアは思った。


「あの、では私はこれで失礼します。 コール君、お大事にね」


サリアはそう言って、二人に別れを告げると扉に向かって歩いていった。


「あ、ちょっと待って下さい!」


コールの言葉にサリアが立ち止まり振り返ると、サリアを見つめていたコールと目が合った。


「僕のせいで日暮れまで、すみませんでした。 でも、おかげで助かりました。 是非、今度お礼をさせてもらえませんか?」


コールは可愛らしく微笑みながらサリアにそう言った。


「コール君ありがとう。 でも、なんだか悪いし気持ちだけもらっておきます」

「え、でも……」

「本当に良いんです。 私がやりたくてやっただけだから」


なぜかはよく分からなかったが、一刻も早くあの店を出て行かなければならないような気がする。

サリアはコールに微笑みかけるとお店の扉を開いた。


「ありがとうございました。 また、お越し下しませ」


店主のそんなかけ声を背にサリアは外に出ると、ガルダに報告するためにギルドに向かった。

サリアがギルドにたどり着くと、ちょうど入り口から医師とガルダが出てきている所だった。


「あ、ガルダさん!」


サリアがそう声をあげガルダの元へと駈けて行った。


「……サリアか。 病人の様子はどうだ。 ついさっき医師が戻ってきてからこれからお前の所に行こうと思っていたところなんだが」

「そのことなんですけど、何とかなったのでそのことを知らせに来たんです。 連れの人も来てくれたみたいなのでもう大丈夫だと思います。 お騒がせしてすみませんでした」

「……いや、大事が無かったのならそれで良い。 今日も訓練所を使うのか?」

「いえ。 今日はもうやめて教会に戻ろうと思います」

「……そうか。 もう、日が傾いているから気を付けてな」

「はい。 では、失礼しました」


サリアはそう言ってガルダと医師にぺこりとお辞儀をしてギルドを後にした。

空が赤く染まりもうすぐ夜の帳が降りようととする時間。

サリアはいつものように、教会へと続く並木道を歩いていた。

今日の夕食はなんだろうか、今日は、神父様も一緒に食事をするのだろうか。

そのような事を考えながら歩いていると、不意に嫌な視線を感じた。

サリアは立ち止まると肩からさげた鞄に手をいれ、後ろを振り返った。

少し離れており、周りも薄暗いため分かりづらいが、木の陰に人が隠れている様だった。


「……っ! どなたかそこにいるんですか?」


サリアは少し大きな声で警戒するように人影に向かって呼び掛けた。

すると、人影がゆっくりと姿を現した。


「よお、お嬢ちゃん。 昼ぶりだな」


サリアの前に出てきたのは、お昼にオーゼおばさんのお店でわめいていたお客の一人だった。


「お前の所のデブ女将のせいで俺のパートナーは動けなくなっちまっておかげで仕事ができなくなっちまったよ。 これから生活がすげー大変なんだけど、どうしてくれるんだよ。 ああん」

「……っ。 あ、あれはお二人が順番を守らないのがいけないんです。 後、オーゼ叔母さんの悪口を言わないでください」


サリアは少し後ずさりながらそっと手を鞄にいれた。


「はぁー。 おいおいマジかよ俺達が悪いのかよ。 最近のやつは礼儀がなって無いな。 仕方ないから俺が大人の礼儀ってやつを教えてやるぜ」


そう言って男は余裕そうな嫌らしい笑みを浮かべ、サリアの方へゆっくりと近づいていた。

サリアは、鞄から手を抜く。

その手には小さな玉のような物が握られていた。


「えいっ」


サリアは思い切り振りかぶり、かけ声と共に手に持っていった小さな玉を投げつけた。

そして、体の向きを教会に向け、後ろを気にせず全力で走り始めた。


「ああ! こら! 待ちやがれ! ん……? おわっ!」

『ドガーーーン』


走るサリアの後ろで、大きな音と共にこの時間にはふさわしくないほどの強く眩しい光が発生した。


『あんた、危機感全然無くて危なっかしいんだからとりあえず痴漢撃退玉、持っときなさい』


そう言ってコレットから渡されていた玉が本当に役に立つとサリアは思っていなかった。

大きな光と音でひるませる事ができる物だがあくまで驚かすだけの物であり使用後はすぐに逃げるなり助けを呼ぶなりしないといけない。

この近くはほとんど何もなく、基本的にこの時間は人の気配が無い。

なのでサリアは痴漢撃退玉を投げつけるとすぐに教会へと走り始めた。


「ちくしょーーー! こけにしやがって! 待ちやがれ!」


大きな光と、音で少しひるんだもののすぐに立ち直すとすごい勢いで追いかけてきた。


「はぁ、はぁ……」


サリアは必死で走るが元々運動能力があまり高く無いため二人の距離は次第に縮まっていった。


「へへへ。さあ、おとなしく捕まりな」


男はまだ余裕たっぷりの声でそう言うとサリアに手を伸ばした。


『ドシャ』


地面に倒れ込む音が辺りに響いた。

読んでくれてありがとうございます

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