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第11話

「コレット、今日はありがとう。というか、コレットはすごく強いね」


サリアは本を閉じると顔を上げ、コレットを見てそう言った。


「当然よ、毎日特訓してるからね! ……と言いたい所だけど他のお姉さま方のようには強くないのよね。 それに傷を治すための治癒術もなかなか難しいしなかなか進歩しないのよね」


そう言いながらも、コレットは楽しそうに笑いながら私に言った。


「きっとコレットならすぐに出来るようになれるよ」

「当然よ! でも、サリアありがとう。ところでさ、あんたの方はどうなの? ギルドで特訓してるんでしょ?」


コレットが「にやにや」と笑いながらサリアに尋ねてきた。


「え? まぁまぁかな……」

「本当に-? もしかして、まだ人形に攻撃がかすりもしないとかじゃないの?」

「うっ。 そんなことはないよ……。 ……あの、明日も早いしもう寝るね! お休みなさい」


サリアはそう言うと素早くベッドに潜る。


「はいはい。 まぁ怪我しないようにね。 何だったら教会の訓練場使いなさいよね。 ……じゃあお休み」


コレットはそれだけ言うと明かりを緩め、ベッドに横横たわった。




「どす……ん!」


翌日の夕方頃、サリアはいつものようにギルドで訓練をしていた。

サリアの動きに改善は特に見られず、よく分からない掛け声を響かせながら、スッ転んでいた。

しばらく、ナイフを振り回しながら、飛び回っていたサリアだったが、体力的に厳しくなり部屋のすみに移動すると座り込み休憩を始めた。

そして水筒の水を飲みながら、過去の事を思い出していた。





「むーーーー」


教会の中庭で13歳の時、サリアは一人うなりながら別のシスターが用意してくれた、皮で出来た重たそうなの袋を持ち上げようとしていた。

しかし、サリアがどんなに踏ん張ろうともそれは少しも持ち上がらなかった。

サリアの周りでは修道服を着た少女やシスター達が各々トレーニングをしていた。


「ちょっとサリア、大丈夫? 無理しない方が良いんじゃない?」


どうやっても少しも持ち上げることが出来ない様子に心配したのか一人の少女が声をかけた。


「だ、大丈夫よコレット」

「そうは言ってもさっきから全然持ち上がってないわよ。 私、これから休憩だけど、あんたもトレーニングは一旦やめて戻りましょう。 このままやってても怪我するだけだと思うし。 じゃあこれは、片付けて来るから」


コレットはそう言うとの前においてある皮で出来た袋を軽々と持ち上げて、そのまま歩いていった。


「あ、待ってよコレット」


サリアはすぐに立ち上がると、コレットを追いかけて走っていった。


「うん? なに、どうしたの?」

「え……。いや、あの……」


サリアは自分で片付けると言おうとしたものの、先ほど全然持ち上げられなかったのを思い出し口ごもった。


「これくらい大した事無いから気にしないでよ。 先に中で休んでて」


コレットはそう言いってウインクすると歩いて行てしまった。






あの時からほとんど成長できていないとサリアは感じていた。

教会で練習していると、いつもコレットになにかと手伝ってもらう事になり、コレットの練習の邪魔になってしまう。

それからは教会で練習するのをやめて、ギルドで練習するようにした。

これを初めに提案したときはコレットだけではなく、他の人にも心配されていた。

昨日、コレットが大男と戦っている姿を見て、サリアはすごいと思った。


戦修道女(バトルシスター)は、あくまでも自分の身を守るために、もしくはなにかを守るためにやむ終えない時だけ戦うことを想定しており、戦うことよりも、戦場で傷ついた人達を治療することを目的としている。

また、戦修道女(バトルシスター)は相手との体格差などをものともせず戦う事が出来る職業である。

極めるのはとても困難な職業だが、あの調子ならきっとコレットは戦闘に関しては既に立派な戦修道女(バトルシスター)になっていると思う。

それにコレットは何だかんだで直ぐに治癒術も使いこなせるようになり、一人前の戦修道女になれるはずである。

しかしそれに引き換え、サリアはそのときから少しも変わっていないように感じている。

サリアは一つ息を落とすと片付けを始め、その後いつもの様に図書館へと向った。

サリアはそこで気持ちが落ち込むほどの静寂な空気に包まれながら本を開き勉強を始めた。


それから特に大きな変化が起こることなく、4年の月日が流れた。

サリアは成人となり、コレットと共にギルドに向かった。

読んでくれてありがとうございます。

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