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密やかに想う  作者: 水城雪見
本編
21/109

16.アルフレッドの頼み



 カロンさんと契約を交わして数日、事前準備として、ディランさんに料理器具の製作を頼んだり、グラタン皿の製作を頼みに行ったりして過ごした。

 冒険者ギルドでもクッキーの評判は上々で、クッキーのおかげでシェリーさん以外の職員さんたちとも話をするようになった。



「カグラ、頼みがあるんだが聞いてくれるか?」



 朝、こまどり亭で朝食を取っていると、同じテーブルについたアルさんに、そう切り出された。

 アルさんとはずっと同じ宿なので、時間さえ合えば一緒に食事を取ることにしている。

 一人で食べるのは味気ないので、アルさんがいてくれるのはとても助かっていた。

 


「私でできることなら。アルさんにはお世話になりっぱなしですし」



 アルさんから頼みなんて初めてだし、お世話になっているんだから、私にできることがあればと、何をするのかも聞かずに了承する。

 何を頼むつもりなのか、アルさんはホッとした様子だった。



「それで、私に何を頼みたいんですか?」



 私の方が早く食堂に降りてきていたので、食事は終わってしまったけれど、お茶を飲みながら、アルさんが食事を終えるのを待つことにした。

 私の3倍くらい食べるアルさんなので、朝からすごい数の料理がテーブルに並んでいる。



「大迷宮に一緒に行って欲しい。できれば1週間は篭りたいんだが、頼めるか?」



 大迷宮と言われて、びっくりした。

 中級以上の冒険者でも苦労するという、大迷宮に誘われるとは思ってもみなかった。

 Sランクの冒険者であるアルさんが行く場所に、私がついていっても邪魔にしかならないと思うんだけど、どうしてだろう?

 それに、自分で自分の身も守れない場所では、アルさんの負担になってしまう。



「私が一緒だと邪魔じゃないですか?」



 何か意図があるんだろうけど、迷惑になりたくないからそう尋ねると、もぐもぐとパンを食べながら、首を振られた。



「カグラはコテージを出して、中で好きにしててくれればいい。もちろん、外で一緒に狩りをしたいならそれでもいいし、報酬も山分けでいい。大迷宮の55層に出る魔物の魔石が大量に欲しいんだが、レアなんだ。だからしばらく篭りたいんだが、パーティで行くと素材は頭割りになるし、ソロで行くと、いくら安全地帯があるとはいえ警戒もせずに休めないし、問題が多くてな。カグラのコテージは回数制限なしだって言ってたから、付き合ってもらえないかと思ったんだ。55層は森みたいな場所だから、コテージなら安全地帯以外でも出せるからな」



 アルさんの説明を聞きながら、なるほどと、納得してしまった。

 アルさんに欲しいものがあって、私が役に立てるのなら、お手伝いしたい。

 迷宮で狩りをできるのならしてみたいし、何より、迷宮を体験してみたい。

 いきなり55層となると、何もできなくてコテージに篭る事になるかもしれないけれど、安全地帯以外でコテージを出せるのなら、コテージのレベルも上げられるかもしれない。

 アルさんの役に立てる上に、私にも利点があるからまったく問題ない。



「迷宮は行ってみたかったので、アルさんの邪魔にならないのなら行きます。何か用意しておいた方がいいものはありますか?」



 迷惑になりたくない気持ちはあったけれど、好奇心が勝ってしまった。

 経験豊富なアルさんを信頼しているからというのもあるけれど、不安のようなものはまったくなく、わくわくとした気持ちしか感じない。

 迷宮の外での狩りさえ、あまり経験はないから、迷宮ともなると何が必要なのかまったくわからないので、素直に聞いた。

 一応、地図や魔物図鑑は持っていて、目は通したけれど、それだけでどうにかなるものでもないだろう。



「食料とポーションや傷薬、後は、俺もカグラもアイテムボックスがあるし、コテージもあるし何とでもなりそうなんだよな。55層は森だけあって、中で採取もできるから、スコップとか鉈とかナイフがあるといいかもな。でも、カグラは転生者だから解体ナイフも持ってるだろ?」



 鉈も、竹を切れなかったのを後悔したので、帰ってすぐに買い込んだし、特に用意するものはないかもしれない。

 薬草で作ったポーションや傷薬は、一応アイテムボックスに入れてあった。

 ちなみに、ゲームのようにHPが数値で見えるわけではないから、この世界でのポーションの位置づけは、傷薬よりも早くよく効く高価な薬という感じだ。

 ちょっとした傷なら、軟膏になっている傷薬、大きな怪我ならポーションを使う。

 質のいいポーションだと、切断された手足もくっつくという話だけど、できればそんなものは見たくないなぁと思っている。



「あ、でも、1週間留守にするなら、商業ギルドとディランさんのところに伝言を残しておいたほうがよさそうです。カロンさんのお店の引渡しまでは、まだ時間があるんですけど、急用があると困りますから」



 商業ギルドと聞いて、アーネストさんのことを思い出したのか、アルさんが苦い顔になる。

 犬猿の仲とまではいかないけれど、二人は仲がよくないみたいだ。



「じゃあ、冒険者ギルドで臨時パーティの登録をしてから出かけるから、その前にお互い準備を済ませるか。2の鐘の鳴る頃に、冒険者ギルドで待ち合わせでいいか?」



 9時の2の鐘の頃なら、少しは冒険者ギルドの混雑もマシになってるはずだ。

 私は頷きを返して、先にこまどり亭を出た。

 商業ギルドはこの時間帯は空いている。

 ミシェルさんがいたので、1週間ほど大迷宮に篭るので留守にすることを伝えると、迷宮に行くのならと、クエストをチェックする事をお勧めされた。

 冒険者ギルドのように、商業ギルドでもクエストがあって、達成率でランクがあがったりする。

 商業ギルドのクエストは、アイテム納品のクエストが多い。

 他にも、商業ギルドへの貢献でランクは上がるけれど、商業ギルドのランクは基本的に上がりづらい。

 市場での割引率などの特典もあるので、安易に上げられないようだ。

 私は、今回の店舗購入の一件で、EだったランクがCまで上がっていたけれど、Bにランクを上げるのは一つの壁らしく、時間がかかるそうだ。

 でも、Cランクでも割引はきくので、とても嬉しい。


 冒険者ギルドと同じ、クエストの張り出された掲示板を見ると、大迷宮で手に入るアイテムの納品クエストがいくつかあった。

 納品なので、受けてから行くのでなく、戻ってから、納品できるものを受けて、達成すればいい。

 納品するアイテムの値段は細かく変動するので、高いものを覚えておいて納品するといいらしい。

 クエストにある納品アイテムを、手持ちの手帳にメモして、商業ギルドを後にした。


 商業ギルドから、少し離れたディランさんのお店に向かい、しばらく留守にすることと、ついでに先日頼み忘れていた物も注文しておく。

 個人で料理をするだけなら足りたものも、お店で使うとなると、数が足りなかったり、サイズが小さ過ぎたりする。

 パスタをメインのお店にするつもりなので、一人分ずつソースを絡めるためのフライパンも大量に注文していたけど、それより少し大きいサイズの物も追加した。

 それがあれば、二人分同時に作ることもできる。

 それと、金属製のナイフとフォークとスプーンが欲しくて、それも注文してあったから、それの製作状況を教えてもらう。

 フォークとスプーンは、大きいものとデザート用のものと2種類で、柄のところに、桜の花の模様をいれてもらったのだけど、とても満足の行く出来だった。

 10セットずつ追加すると、細かい作業が大変なのか、ため息をつかれたけれど、1週間ほど留守にすると伝えると、ホッとした様子だった。

 少なくとも1週間は無茶な注文が来ないと思ったに違いない。

 

 まだ、予定よりも早いけれど、用事はすべて終わったので冒険者ギルドに向かっていると、冒険者ギルドの前に、怖い顔をしたアーネストさんが仁王立ちしていた。

 くるっと背を向けて逃げたくなったけれど、アーネストさんが探しているのはどう考えても私のような気がするし、どうしようかと迷っているうちに見つかってしまった。

 私を見つけた瞬間、鬼の形相でつかつかとアーネストさんが歩み寄ってくる。

 逃げたいと、心の底から思ったけれど、何とか踏みとどまった。



「大迷宮に篭るって、何を考えているんだ、馬鹿者め」



 肩を掴まれ、正面から顔を覗き込まれる。

 怒っているだけなら反発するのだけど、表情があまり動かないその瞳に、心配の色を見つけてしまって、何も言えなくなった。



「大迷宮は料理人が篭るような場所ではない。せっかく店も手に入れたのに、もしものことがあったらどうするんだ? もし、素材が欲しいだけなら、依頼を出せばいい。迷宮は、特に大迷宮の方は、命の保障はない危険な場所なんだ。本当に理解して行く事にしたのか?」



 肩を掴まれたまま、切々と訴えられて、とても心配してくれているのだと伝わってきた。

 身元引受人のない私が今の段階で死んでしまえば、あの店は商業ギルド預かりになって、ギルド的にはなんら被害があるわけではない。

 忙しい人なのに、心配してきてくれたのだとわかったら、怖いとか逃げたいって思っていたのが恥ずかしくなった。



「アルさんが一緒だから、大丈夫です。それに、コテージを出してほとんどそこに篭っていると思いますから。心配してくださって、ありがとうございます、アーネストさん」



 心からの感謝をこめてお礼を言い、微笑みかけると、アーネストさんががちっと固まってしまった。

 どうしたのだろうと首を傾げれば、深々とため息を吐かれ、子供にするように頭をぐしゃぐしゃと撫でられる。



「あの体力馬鹿が一緒なら大丈夫だろうが、他のメンバーは? 大迷宮ともなるとちょっとした油断が命取りだぞ? それに、どの層に行くんだか知らないが、コテージなんか出してたら下手すると赤字だろう?」



 口喧嘩はするけれど、アーネストさんはアルさんをちゃんと評価しているみたいだ。

 それでも、二人きりで篭るといえば、また違う意味で心配をかけてしまうだろうか。



「赤字にはならないです。私の持ってるコテージって、回数制限なしなんです。今回はアルさんと二人ですけど、でも、アルさんはロフトには上がれませんし、大丈夫ですから」



 私が説明した事の意味が、半分もわからないといった様子で、アーネストさんが困惑している。

 回数制限なしのコテージは、他にないみたいだから仕方がないかもしれない。



「商業ギルドの馬車置き場、この時間なら空いてますよね? 説明しますから、ついてきてください」



 実物を見せた方が早いだろうと、アーネストさんの腕を掴んで、商業ギルドに向かって歩き出す。

 道路を挟んですぐ向こうだから、すぐについた。

 アーネストさんは見たほうが早いとわかったのか、されるがままついてきてくれる。

 馬車置き場の、道路側からは見えない場所まで歩いていき、人がいないのを確認してから、アイテムボックスから取り出したコテージを出した。



「ちょっと待ってください」



 一言残して先に中に入り、アーネストさんが中に入れるように許可する。

 人が来ないうちに、さっさと説明しなければならない。

 アルさんのときと同じように、アーネストさんにも隠そうとは思わなかった。

 さっき、心から私を心配してくれる姿を見たからかもしれない。

 外に出て、どうぞと、中にアーネストさんを招き入れると、やっぱり普通のコテージとは違うのか、驚いたように中を見ている。



「これがコテージか? 私が知るコテージにそこの扉はないんだが」



 ベッドがあるはずのところに扉があるので、驚いているらしい。

 寝室の扉を開けて、中に招き入れた。



「回数制限なしだからなのか、理由はわからないんですけど、コテージにレベルがあって、レベルが上がると中の作りが変わって、広くなっていくんです。最初は扉がなくて、一つの部屋にベッドも置いてありました。ここのロフトは、レベル3になった時に増えたんですけど、ロフトに上がれる人の設定もできるんです。だから、アルさんと二人でも、アルさんはロフトには上がれません。ロフトにはベッドもあって、私はそこで寝ますから、同じ宿に泊まっているのと変わらないと思ってください」



 寝室に招き入れられて、最初はぎょっとした様子だったアーネストさんも、私の説明を聞いているうちに、好奇心が勝ったようで、興味深げに寝室内を見渡している。



「本当に、何が出てくるかわからなくてカグラは面白いな。コテージを出しっぱなしにしている辺境で、稀にレベルが発生して、形態が変化する場合もあると聞いたことがあるが、どういった場合にレベルが発生するのか法則は誰も知らない。カグラにはわかるか?」



 レベルは、このコテージ特有ではないみたいだ。

 他にも例があると聞いて、ちょっとホッとした。



「多分、形態が変化した時は、コテージを一度片付けて、もう一度出したんだと思います。コテージの結界で魔物が死んでしまうときがあるんですけど、その経験値のようなものがコテージにたまるみたいなんです。一定の経験値がたまると、コテージのレベルが発生するんだと思います。けれど、コテージを一回片付けないと、更新されないみたいで、出しっぱなしだとレベルだけ上がって、形は変わらないままなんです。寝室が別になって扉がつくのはレベル2からですから、それくらいの変化をしたコテージは、探せばあるのかもしれません」


 

 私が今わかっていることを説明すると、アーネストさんは納得したように頷く。

 結構好奇心旺盛な人だから、謎が解明されるのは面白いんだと思う。



「コテージにレベルがあるのがわかれば、複数回出せるコテージの値段は更に上がりそうだな。もっとも、検証も必要だと思うが。迷宮の宝箱から、稀にコテージが出るんだが、大抵は一回使い切りで、複数回使えるものは少ない。大迷宮の中層以降のの宝箱からなら、出ることもあるだろうが、こればかりは運だからな」



 完全に頭が商人モードになってる。

 コテージの検証で必要な金額と、正しい結果を得られた時の利益などを頭で計算しているのだろう。

 何やら一人で考え中のアーネストさんの腕を引いて、外へ促した。

 いつ、外に人が来るのかわからないし、のんびり話をしている暇はない。



「アーネストさん、中が見たいなら、そのうちに好きなだけお見せしますから、とりあえず今は人目につかないうちに片付けますね」



 人目につかない方がいいというのは、私よりもずっと理解しているようで、アーネストさんはすぐに外に出てくれた。

 コテージを片付けると、鑑定させて欲しいと頼まれたので、私の手に持ったまま、鑑定してもらう。

 譲渡不可なので、鑑定のためでも渡せないのだ。



「譲渡不可でよかったな。これの存在を知られたら、カグラはもっと狙われることになる。私が言うのもなんだが、コテージのことを教える相手は選んだ方がいい」



 誰も持っていない回数制限なしのコテージがあると知られれば、奪い取ろうとするか、奪えないならば、私ごと利用しようとする人もいるだろう。

 その予測は簡単につく。

 


「大丈夫です。鑑定に出ていませんでしたか? コテージの結界って、私に悪意がある人を弾くようになってるんです。捕縛と迎撃に設定を変えることもできますから、いざという時も対処できますし、結界に入れる人は信用できる人です。だから、アーネストさんには知られても問題ありません」



 私の言葉を聞いて、アーネストさんは頭痛を堪えるように片手で頭を抱えた。

 それはもう深々とため息を吐いて、どこか恨めしそうに私を見る。



「信用されていると喜べばいいのか、対象外だと言われてることを哀しめばいいのか、わからん。まぁ、寝室に平気で招き入れる辺りで、対象外なのはわかってたが」



 結婚は冗談だとばかり思っていたけれど、そうじゃないんだろうか?

 アーネストさんはいい人だと思うけど、先生と再会するまでは、誰もが対象外だと思う。

 アーネストさんだからダメなわけじゃなくて、私の心は先生と別れたあの時に、先生に持っていかれてしまった。

 だから、どんなに素敵な人が現れても、先生の事が心から離れなくて、恋はできないと思う。

 それに、逢ったばかりでお互いのことをほとんど知らないのにという気持ちもある。

 私は一目惚れとかできないタイプだ。

 恋愛もあまり強引な人は、身構えてしまう。

 


「そんなに困った顔をしなくていい。ほら、お迎えが来たぞ。あのコテージがあれば大丈夫だろうが、気をつけていって来い」



 アーネストさんに背を押されて、アルさんが迎えに来てくれたことに気づいた。

 2の鐘はまだ鳴ってないはずだけど、冒険者ギルドまでアーネストさんが押しかけたのが、噂になっていたのかもしれない。



「いってきます。1週間ほどで戻りますから、何かありましたら保留にしておいてください」



 二人が顔を合わせると、また口喧嘩が始まりそうなので、軽く頭を下げてからアルさんに駆け寄った。

 アルさんは、アーネストさんを睨むように見ていたけど、私が駆け寄ってきたのに気づいて、笑顔になる。



「準備できたか? 臨時パーティの申請と、ついでに受けられるクエストもいくつか受けてきたから、後は二人分のギルドカードを提出するだけだ」



 促されて冒険者ギルドに歩きながら、アルさんが説明をしてくれる。

 時間があったから、やれることをやっておいてくれたらしい。



「待たせてしまってごめんなさい。アーネストさんが心配していたので、コテージを見せて説明していたんです。それと、商業ギルドでもクエストがあるので、チェックだけしてきました」



 二人で冒険者ギルドに入ると、中はまだ混雑していて、何故かわからないけれどやけに見られてる気がした。

 首を傾げつつ、アルさんは気にした様子がないので、そのまま、シェリーさんのいる受付に向かって、ギルドカードを出す。



「カグラ様、キサラギ様がご一緒でしたら心配はないと思いますが、お気をつけて。無事のお帰りをお待ちしてます」



 受付はすぐに済み、初めて迷宮に行く事を知っているシェリーさんに声をかけられる。

 言葉に頷きを返してから、アルさんと一緒に冒険者ギルドを出た。

 出るまでずっと見られていた気がするけど、何だったんだろう?



「アルさん、何かやたらと見られてなかった? 何かおかしかったかな?」



 特に変な格好はしていないはずと、自分の姿を見下ろしながら尋ねる。

 すると、アルさんは苦々しげな顔で、商業ギルドの方を見た。



「アーネストのせいだろ。あの馬鹿が、冒険者ギルドまで乗り込んでくるから。まぁ、でも、確かに危険な事に違いはないんだ。55層なら、俺はカグラを守りながらでも問題なく戦える。けれど、絶対はないからな。だから、できればコテージを出して、いつでも逃げ込める状態にして、戦うのがベストだろう」



 本当に危険ならば、いくらコテージがあるとはいえ、アルさんは私を最初から誘わないと思う。

 すぐにコテージが出せるとは限らないし、途中で襲われる可能性は大きいのだから。

 だから、誘いがあった時点で、アルさんには大丈夫と思うだけの根拠があって、何とかなるのだろうとわかっていた。

 それでも絶対はないから、自分でも十分に気をつけようと思う。



「アルさんを信じてるから、大丈夫。でも、私もできるだけ気をつけます」



 改めて、気を引き締めながら東門に向かって歩いていった。



次回はシェリー視点で一話挟みます。

美咲の知らない冒険者ギルドの一幕です。

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