第壱話 舞い上がる焔
主な登場人物紹介
・暁月 空
私立桜翼学園1年。美少女にしか見えない容姿をしており、本人は気にしており、その容姿とトップの成績、さらにスポーツ万能により、"才女"と呼ばれている。幼い頃に姉と一緒に両親に捨てられ、それ以来姉と二人で暮らしている。ある日、突然現れた紅い竜の姿をした妖怪に喰われたが、逆にその竜の力を手にいれてしまった。
・如月 六華
私立桜翼学園1年で、空とはお互いがお互いにとって大切な親友である。空と同じく、美少女にしか見えない容姿をしているが、六華はもう割りきっている。空と同じく成績トップになることが多く、この二人で"桜翼学園の華”と呼ばれることも少なくない。
・暁月 千夜
空の姉にして、たった一人の家族。モデルが見たら逃げ出す程に美人でスタイル抜群という容姿を活かして、モデルのバイトなどをして、たった一人で空を養ってきた(現在はモデル業そのものが仕事)。よく空に女性用の服を着させてからかったりするが、それは空に対する愛情の裏返しでもある。空より二歳年上である。
・西園寺 アリス(サイオンジ アリス)
空を組織"人妖之集"(ジンヨウノツドイ)に中ば強引に入らせた張本人。空達とは一歳上の十七歳。明るいボクっ娘であるが、それを十二分に補える程の美少女でもある。日本人の父とフランス人の母の間に産まれたハーフである。彼女の妖怪は、とある理由で顕現するときは両刃の巨大な剣の姿をしている。
「ハァッ、ハァッ・・・」
僕は今、色が反転した自分の町の中を走っている。脚が悲鳴をあげ、呼吸が苦しくなってきたが、脚を止めない。その理由は、
「グルル・・・ルオオォォォオオオ!!」
後ろから、炎を纏った真紅の竜が、僕に狙いを定めて追いかけてくるのである。いつからこんな恐ろしい鬼ごっこをしているのかは分からないが、こちらは既に満身創痍、対してあちらは疲れをまったく見せず、むしろ自分の獲物(僕)が弱ってくるのを待っているかのように控えめに走ってくる。
嫌だ、僕はまだ死にたくない。家には千夜姉が僕の帰りを待っている。親友である六華ともまだまだ話したいことがいっぱいある。まだ僕は死にたくない。
だが、体はもう限界まできている。それに構わず突っ走ると、
「痛っ!」
思いっきり体制をくずして、盛大に転んでしまった。そうして自分の眼の前にいる竜を見て、
僕は、今まで感じていた恐怖などとは比べ物にならない、圧倒的に純粋な、覇気とも思える恐怖に、体がすくんでしまった。
「グルオオオォォォォォオオオッ!!!
そんな僕にはお構い無しに、眼前の竜は、高らかに吠えた。
その瞬間、僕は自らの命がここで終わってしまうことを感じていた。
そして、竜は、こちらに顎を開いて、炎のブレスで焼き尽くすというよりは、僕を喰らうかのようにして迫ってくる。
嫌だ、死にたくない、死にたくない、死にたくないーーーー
そんな想いを最後に、僕の意識は途切れた。
小説初投稿です。プロローグ的にしたかったので、かなり少なかったですが、次の話から本格的になってくるので、期待していてください。