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かふぇ&るんばっ♪1980  作者: 鴉野 兄貴
守ってあげたい

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スライム使って遊んでいる ~細かいプラモデルの汚れにはスライム~

 こんにちは。知らない人。

え。あなたはわたしを知っている?

そうね。あなたは私が好きな人と同じくらいハンサムかもね。

でも。あなたは私が知っている人じゃないわ。


私の好きな人はあんたみたいに弱くない。強い? 何処が? 笑わせないで。

8000年生きていて16の女の子の気持ちから目を逸らすほどあの人は弱くない。

誰かを好きになることが辛くて嬉しくてドキドキするほど全て変わっていく事だって。

それが生きていることなんだって教えてくれた。

愛も勇気も知らない? 知らないのにどうして私に教えてくれることが出来たのかしら。


 くるしい。

機械だか粘液だかわからないものに私は搦め取られて動けない中、それが身体をまさぐって。

「このまま融合してやろう。痛みも感じぬままな」ぞわぞわとする感触が気持ちいい……ワケないでしょ?!

私は境内のどこかに吹っ飛んでしまった燃える木刀を視線の端で探す。

こんなのはね。好きな人じゃなきゃ、ムードがなければ。全然うれしくないのよッ!


 無理やりそれを引きはがし、ローファーのかかとで蹴っ飛ばす。

ごうと風が私の頬を押し上げ、私は「ととっ?!」と叫んで地面に不時着。

すかさず地面に何本もの鉄の槍みたいなものが刺さって境内の踏み石を破壊するのをかわして。

「智子ッ? 智子ッ?」親友の姿を探す。

その顔からは血の気はないけど……よかった。生きている。

「へんたいの麻生先生ッ 智子は無事ですよッ」「変態は余計です」

むしろ紺野さんみたいなUFOさんが変態しています。この場合変身でしょうか。

「UFOだけに編隊を組むかもしれません」「君は相変わらずパニックに陥っているのか落ち着いているのかわからない」

でも、死にそうなのは事実ですからね。私は彼を蹴飛ばすように戦線から追い出します。

「蹴っている」そんな言葉が聞こえましたがたぶん幻聴です。非常時ですし。

 なによあのツクダオリジナルのおもちゃみたいなの。

殴っても効いている気がしないし。困ったなぁ。

そういっても口元が上がるのがわかります。どうにもいけませんね。

「上等だオラぁあああああああああっ?!」

……。

 ……。


 うん。大人って残念ですよね。

私の目の前では大人のくせに『宇宙戦艦ヤマト』のおもちゃで遊ぶ二人の男の姿がありました。

私の足元では『宇宙からのメッセージ・銀河大戦』の玩具で歳相応に遊ぶ幼女の姿がありますが渋すぎます。

まいなちゃん。もうすこし女の子の玩具であそびましょうね。


「この精密な再現度が凄いな」「麻生。そうなのか」

金属でできたヤマトを手にはしゃぐ変態さんは私の担任でもあらせられます。

名前も同じくあそうやまと。

大人のくせに漫画が好きとか頭が悪いとしか言いようがないのですがこれでも教師なのです。

(作者註訳:この時代はまだ大人がアニメを見る時代ではない)

「ヤマトは面白いと思うよ」「そーなのか」紺野さんはそんなの見ませんよね。

そうは思いましたが紺野さんはアトム知っていましたしね。

その紺野さんですが、奇妙な玩具に色を塗っていらっしゃいます。何でしょうこれ。すごく臭いのですが。

「ガンダムのプラモデル」そういう彼の鼻先には塗料が。ああ。素敵なお顔が台無しです。

ガンダムって。ああ。あの漫画ですか。紺野さんは新しいものに偏見なく敏感なのですね。それが商売のコツなんでしょうね。

「なんか、ぼくとの扱いが違いすぎるんだけど夢野君」「ほほ。なんのことでしょう麻生先生」

こういったおもちゃって買ったばかりは良いですけどすぐ埃まみれの垢まみれになっちゃうのですよね。

ふきんでは拭き取れませんし、水浸しにするのも難しいものですし。

「最近は水の中で遊べるものもあるよ」そうなのですか。

「これは水の中で遊べるようにつくってもらったのじゃ~」そうなんですか。まいなちゃん。うれしそうですね。

石膏型から作ったということで紺野さんの器用さがわかります。

「紺野ありがとうなのじゃ~」「どういたしまして」

そうつぶやく紺野さんは聖徳太子をにぎっていらっしゃいました。

「子供からぼったくって?! 恥ずかしくないのですかッ?!」というか。私のお給金より多いのです。

私の八つ当たりをぼーっときく紺野さん。

にこにこ笑いながら珈琲を入れ、お菓子を作る自称妖怪の横で麻生先生は呟きました。

「汚れているなぁ」汚い手でペタペタ触りますからね。子供は。

というより麻生先生は歳を考えてください。


 麻生先生は緑色のゴミ箱みたいな容器を取り出すと。

どろり。緑色の気持ち悪い何かを取り出しました。

「あっ?! スライム?!」思わず飛びついて私もそれで遊ぼうとしますけど。

「ああ。夢野君。これはこう使うんだ」

先生はそれをヤマトに垂らしていきます。え?

「こうすると埃が取れる」そうなのですか……ちょっと汚ない気がしますけど。

というか。麻生先生は呟きます。

「消しゴムを練りけしにして遊んで欠点を取ったよね」「あれは不可抗力です」

だってゴムノリってとっても面白いのですから。

……。

 ……。


 私は知っているわ。

どんなことにも負けない心を。

何より怖いものを。愛すべきひとたちを失うかも知れない怖さを知った。

私にもわかったの。勇気を持って抗う大切さを。

生きていることの喜びを。未来。ともだち。家族。たいせつなひと。

全てが好きになることを。

大好きな人に触れられなければ。キモチいいって思わないよね。

不思議ですよね。

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