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かふぇ&るんばっ♪1980  作者: 鴉野 兄貴
美少女

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40/49

身体ごと厨弐展開 ~これまでのおさらいと超展開ごめんなさいと~

 ああ、本当に強くなったなぁ。

血の味に気付く。あの最後の光景は夢じゃなかったんだな。

あの妙に甘ったるい世界は、最後のたむけのつもりだったのだろうけど。

「だから、私を見て!! 私から目をそらさないで!!」

世界なんて誰にだって滅ぼさせない。未来はきっと輝いている。


 世界が覆されたって。

私たちはきっと。誰かに恋をする。

その相手が既にいるなら。もうそれだけでいい。


 奴は転がっていた赤い木刀を手に取る。

一度は投げ捨てたそれを力強く。

優しい口調なのに人間味のない違和感。

問いかける声に。

「アンタ誰よ?! 私はあんたの事なんて知らないんだから!」と叫ぶ美夏っち。

「どうしてだ? 君のなりたい未来になったのに」

ツバサもないのに浮遊するその赤い物体に。


 私の知っているあの人の声じゃない。

「紺野。もうやめろ」「なぜ? 僕はそのために生まれたんだ」

浅生先生が『あまりにも不幸過るから』降り注いでくる隕石。

その猛攻撃を受け乍らその赤い物体は明るく笑う。

まっかな麦わら帽子に似た変な飛行体。

機械なのか生物なのかも解らない。

ごちゃごちゃと光るそれの中央には、確かに私たちの知る男の人の姿があったんだ。

「私は、『ゴミの山』。文明を破壊し、吸収し、自己進化する存在」「はぁ?! 聞いていないんですけど?! だっさ?! イモっ?! 笑っちゃうわ?!」


「私の知っている紺野さんはアンタなんかじゃない」


 ぎりりと言う歯ぎしりの音がこっちにまで聞こえてきた。

「返せっ?! 紺野さんを返せっ 返してよ?! アンタなんて知らないんだから?!

私の知っている紺野さんは、とぼけていて、おバカで。優しくて。

いつだって私を見守ってくれた!!!」


 大上段に赤く燃える木刀を構える美夏っち。

その顔は憤怒と涙に染まっている。

『あの顔。大魔神の顔を紺野さんにを見られるくらいなら死んだほうがマシ』っていって相争うみかっちと私はあの変な光に焼かれて。


「私は、嫌われたっていい。あなたを失うくらいなら」


 髪を振り乱し、大股で大地を踏みしめる。

石畳が砕けて暴風が飛び散る。

彼女の腕がゆっくりと上がる。まるで泣いているかのように。


「お前なんて大嫌いだと言ったら?」


 びくりとなるその体。

彼女が小さく、悲しく見えたのは一度目ではない。

でも、今のみかっちなら。大丈夫だよね。総長の木刀。託しても良いよね。


 ゆっくりと上がった腕が髪に絡まり、鬼の表情があらわになる。

私は知っている。その顔は彼女の涙なのだと。

「紺野さんが。紺野さんはそんなこと言わないわ」

 獲物をいたぶる笑みを浮かべながらその声は不気味に暖かい。

『尾道の大魔神』の本領発揮である。

はっは。やっちゃえ。


「モノ言わずに思っただけで通じて欲しい心を教えてくれた。

人が生きていること。出逢う事のステキさをしらせてくれた。

見つめるだけでドキドキすること。

どんなことにも負けない心を。松竹梅の本当の意味を教えてくれた」


 何を言っている。

その不気味な声に彼女は音がするほど強く木刀を握りしめる。

「流行語は通じるとは限らないよね。人の気持ちは変わるかもしれない。

『新聞は世界中で一番便利なものだ。読むことは出来ないが、他のことなら何にでも使える』だもんね。


 マニュキア落としでテープ跡落としが出来るって教えてくれたよね。

重曹が口の臭いを消してくれるとか。本を一緒に片付けたり。

浅生さんと紺野さんと皆で騒ぎ合って。

風呂敷を持つかリュックを持つかで喧嘩したりさ。

妙な夢を見たりもした。

妖怪なんて信じていなかったけど。認める。認めちゃうよ。

不幸せがあっても私は逃げない。幸せが待っているんだから」


「飽きた。滅べ」


 あの光がまた私たちを包もうとするも、美夏っっちは木刀を構え、それを迎え撃つ。

うそ?! レーザー斬ったぞ?!

浅生先生がそう言うけど、先生なのに知らない事ってあるんだねぇ。

「ばかたれ。浅生。この世の絶対の真理を知らんのか」

悪態をつく妖怪の声。澄ました鼻面をつまんでやりたいがこの身体じゃねぇ。

悪態もつけずに蹲る血まみれの私に彼女は歩み寄るとこういった。

「わしの身体を貸してやる。だから」うん。ありがとう。


「恋する女は。無敵なのじゃ」

不幸なんて。運命だって覆す。

だって私たちは。『新人類』だもん。


「血液型診断はでたらめだって教えてくれた。

どうでもいいお米のことまで。プランタ栽培、やるって言ってくれたじゃない?!」


 乱れ飛ぶ光を避け、あるいは正面から『どっせい?!』と言って打ち砕き。

莫迦じゃない? みかっち。あんた最高にカッコ悪くて……イケてるよ。


「レモンの香りは実じゃなくてって、トイレの恨みいまだ忘れていないんだからっ?!」


 その話は死ぬほど聞いた。マジで。

「香がやってきたり、光がやってきても今なら受け入れる!」誰?!


 強く駈ける彼女の後から石畳が砕けていく。

完全にみかっちのほうが動きが早い。

「人間にこの速さは追いつけない」「ざけんな! 見切ってるんだよ!」お前は漫画かよ。


 土煙が月夜に。

夏なのに咲き乱れる桜の景色の中に。

何処からか朝顔の朝露の香り。


「茹で卵は水の中で剥こうとか玉ねぎ炒めとか料理の話もしたよね」

朝起きたらガチムキだった夢の話も聞いたな。あれは笑った。

「悪筆を直してくれた。苺大福をまた食べたい!」

 木刀が何度も何度も振り下ろされる。

当たり前だけど木刀でUFOなんて砕けないから。

そんなことは、やってみなければわからないじゃないか。


「ノートは未来を作るものだって言ったよね?! 手帳とかメモの使い方まだ聞いていないよ?!」だって好きな人の名前だって解ってなかったしな。コイツ。


 雨の中でも歌って笑う心。

余裕を持つこと。知ろうとする喜びを知ること。

「みんな、教えてくれたじゃない!」

アンタなんて、アンタなんて知らない。知らないんだから。

叫ぶ彼女に私は告げた。

「いけ。みかっち」「うん!!!」


 彼女の名前は夢野美夏。

後に紺野美夏と名乗ることになり、私の娘の名前の元になった。

そんな。私にとって唯一無二の。大親友だ。

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