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かふぇ&るんばっ♪1980  作者: 鴉野 兄貴
愛と勇気を教えてくれるヒト

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32/49

君は名前を知っているか~番外。あれ? 浅生さんの下の名前って?!~

 こんにちは。あら。郵便ですか。書留ですね。

でも今日は紺野さんはいらっしゃら……『紺野 矢的』??

んー。やてき? なにこれ?

うんん?? あれれぇ? 紺野さんのお名前って塊山さんですよね。

「古物商なんだから職業名くらいあるよ」手紙について浅生さんがそうおっしゃり、「そーなのか」とトボけている紺野さん。あなたのお名前でしょう。

「将来は同じなので紺野と書いておきました」「?」

書類を受け取りそのまま礼を言う彼にムカつくのはなぜでしょうか。

ちょっと珈琲に雑巾の搾り汁を入れてあげたいところです。鈍すぎます。


「そんなことしないでほしいな。機械が汚れる」「久しぶりに人の心を読まないでください」

「バレバレだから。美夏ちゃんの考えは」「じゃの」


 こんにちは。知らない人。

アンタ誰ってあなたこそどなた?


 とにもかくにも私たちはいつも通りの夕方を過ごします。

ふわふわたゆたう湯気に甘い香り。吐きだす息は時とまじりあって肩の力も程よく抜けて。

このお店はとても過ごしやすいのですよね。こう、ボロイものでもなぜか優しい気分にしてくれるような。


かささぎ。今日のお菓子は旨いな」「褒めてもなにも出んぞ」


 まいなちゃんが生意気なのは相変わらず。

なのですが最近浅生さんに対して表情が柔らかいのは智子を意識しているからでしょうか。

「あ? その柔らかで軽いおつむで何を考えておるのじゃ? なにを?」

そういって私の足を短い手でペチペチ叩くまいなちゃん。愛らしいのですが妙に痛いのです。彼女の平手は。


「というか、浅生の名前も美夏ちゃんは知らないんじゃないか」


 そう呟く紺野さんに私とろりこんの変態の浅生さん。

もとい浅生先生は一瞬固まりました。ま、まさか担任の名前くらいは。

覚えたことないですけど。クラスメイトなんて3人以上覚えたことがありません。

「どれだけ友達おらんのじゃ」「い、今はいますよ?!」たまに、ちょっとお名前なんて名前だったかなぁって思うことはありますけど。

足元でため息をつく幼女に思わず食って掛かる私。「智子ちゃんはいるね」うっ?!


「村神の娘がおらんかったら絶対どこかで野垂れ死にじゃのう」「村神くんは結構良い子だからね。面倒見がよくて」「あの子はよく気が付くね」


 と、と、智子以外の友達も。いたかも。いましたよ?!

その、あの。今は絶縁しちゃっていますけど。

それに学校では皆遠巻きだし。特に男子の友達は絶無かも。

胸とかお腹とかには視線を感じますけど。可也。


「はい。夢野君。問題です」「浅生先生なんでしょうか」


 ひくひくと頬が揺れる私。鼻がちょっとぴくぴくするのは緊張しているからですが。

「ぼくの名前はなんでしょうか」「浅生先生」「ほら、知らんじゃろ」

えっと、ロ・リコン・編隊・浅生で。

「なんじゃそれはワシでも怒るぞ」「何時から僕はキリスト教徒に?!」「浅生。お前は異国の人間だったのか」

ひとしきり笑い終えた三人は『たけし浅生猛あそうたけし』と告げます。

「あのやてきさんって」「ヤマトって読む。紺野の名前だ」「そうだったっけ」

最近塊山で通していたから気にしてなかったと呟く紺野さんですが、適当すぎます。

「親御さんからつけていただいた大事な名前なのですから大切にしてください」「親?」

 きょとんとしている紺野さんを見てしまったと思う私ですが紺野さんはいつもの優しい紺野さんで私に辛いことがあったとかそういうそぶりを見せません。

「ああ。鉄腕アトムが欲しがるアレか」「後から作ってどうするのですか」卵が先か鶏が先かじゃないのですよ?! 紺野さん?!

「作らないとダメなのかな」妙に真剣な彼に言ってはいけないことを言ってしまって混乱する私。そして「いや、作るものでもないでしょう」「不要じゃ。紺野」と相変わらずのお二人。

鉄腕アトムっていうのは手塚治虫の漫画なんです。とっても面白いんですよ。

「10月から新番組でやる」「うそ?! 紺野さん何処からそんな情報を?!」

テレビの新番組ってまったく予想出来ないので番組が終わると寂しかったり期待したりと凄く固唾を飲んじゃうのですよね。

イナズマンの所為で見たい番組がみれなかった近所のお爺ちゃんが次の週からイナズマンFがはじまってがっくりしてたっけ。

「あ、じゃ、聖子ちゃんの新曲とか解りますか」「紺野! やめろ!」それはねと言いかけた紺野さんを浅生さんが強く静止。つまんない。

「浅生さんのケチ。苺大福つくってあげない」「君は紺野にしか作らないからな」

「あのシュワシュワは別の意味じゃからな。紺野でなければ食えぬ」ちょ、ちょっと傷めただけです! お腹壊したけど私。

「不味くはなかった。次は美味しく作れるだろう」塩と御砂糖を間違えて入れたのですが優しいのかそれとも味音痴なのでしょうか。


「まぁ今日はワシがなにか作ろう」


 そういって小さな割烹着を着るまいなちゃんに続く男ども。

あの。私は? 私だって色々作れるのですよ? 目玉焼きくらいなら。

「そこに座っているといい」「とっておきを作ってあげよう」


 私の名前は夢野美夏。

料理を覚えたほうが良いかなとか思ってしまう16歳。

私の好きな人は。

「とっても。美味しいです。紺野さん」「そうなの? いまひとつ解らない」

料理も得意なんです。憧れますよね。では!

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