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かふぇ&るんばっ♪1980  作者: 鴉野 兄貴
不思議な物品に宿るは『ツクモガミ』

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みんな持ってる この袋の中に ~ふろしき~

 紺野さんはスラリとしていてキリッとした男前さんなのですが、

どこかゆるんだ顔だちをなさっていてそこが少し可愛いと思うのです。

25歳のオジサンの相手に可愛いなんて変ですけど。ウフフ。

こんにちは。知らない人。私はあなたの事なんて知らないけどあなたのお歳はおいくつですか? 私は16歳。今時の女子校生で新人類なんですよ。


 25歳のオジサンといわれた男前さんは不思議そうな顔を浮かべていらっしゃいます。

そしてぼそりと。「ううん。ぼく8000歳」また変なこと言っているし。

そんな紺野さんですが、いつもダサい作務衣に風呂敷、一本しか歯の無い下駄もしくは雪駄というどうしようもない服装だったりします。


 泥棒じゃないんですから唐草模様の大風呂敷は何とかしてください。

「ええ? 凄く大きくて使いやすいんだよ」彼はそういって何枚か大きさの違う風呂敷を出してきました。

懐から一枚。一瞬胸が見えてドキリとしました。

腰に下げた手ぬぐい代わりの一枚。

こちらは時々お弁当を包むのにも使っていらっしゃいますね。

さらに風呂敷の中から一枚。どれだけ出してくるおつもりでしょうか。


 風呂敷って何かと贈り物と一緒に頂くのでうちにもあるのですが、

同じように贈り物として使うのでいつでも適切なモノがないのですよね。

買うと高いうえに買うようなものでも。

「なんか工場のパレットみたいだね」良く分かりませんが紺野さんがおっしゃるならそうなのでしょう。


「とにかく、風呂敷はダサいのでやめてくれませんか。紺野さん」


 そういって私は最近流行りだしたリュックサックを出します。

「これならいちいちモノの大きさに合わせて形を変えたり結び方を変えたりしなくていいですし、何よりほどけたり横からこぼれたりしません」

こうやってぎゅっと紐を結べばいいですし。

「なんかランドセルみたい」「紺野さん小学生じゃないのですから」

私は風呂敷のダサさ、泥棒みたいでカッコ悪いことを彼に説いて見せましたが。

「風呂敷もちゃんと結べば堕ちないし、むしろ物の形をひきたててオシャレだと思うけど」年中作務衣と風呂敷でしょう?! 紺野さんは?!

たまに腰や背中に巻いて暖を取っていらっしゃいます。傘代わりに使うこともあるようですし。


 紺野さんは風呂敷の大きさを選んでモノの形や重さに合わせて背負ってみたり腰に巻いてみたり水筒を結び付けたり手ぬぐいと組み合わせてバックみたいにしたりと適切に使い分けます。多分お母さんより上手に風呂敷を使えると思います。その辺は古物商らしいと思うのですが。


 私はやっと出たアルバイト代で買ったおそろいのそれを出します。

「ね。ね。リュックにしましょうよ。こっちのほうが可愛くて便利ですよ」「かさばるし重いんだけど」


 ほら。色も柄も揃っていて、ペアルックなんですよ?!

ここでリュックサックをつけないほど鈍感なら私は彼を見切っていたことでしょう。

結果ですか? ええ。この日は楽しく二人で遊ぶことが出来ました。

ただ。二人のお弁当を包む布は相変わらず風呂敷でしたけど。


 私の名前は夢野美夏。

キャピキャピの一六歳新人類。

私の好きな人は。

「あなたはなんでも知っているのね」

「そうでもないさ。知らないことだってあるよ」

トンデモない変わり者なのです。

だから私が頑張らないといけないの。

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