第6話
はい、準備が整いました。
と言っても重いのが無理で格好がもう勇者って言うよりもゲームのキャラぽくなってしまった。
鎧の類いは諦めてゆったりとした布製のコートのようなものを羽織っている。軽いです。おしゃれです。持って帰りたいね。
腰にはおそらくハリボテであろう軽い方刃の直剣を
佩いている。これなら軽いしさすがの僕でも振り回せる。
「くっくっく…」
思わず笑いがこみ上げてくる。コスプレってちょっとしてみたいけど、本当にするのって恥ずかしいし勝手が分からないしちょっとハードル高いよね。
でもドッキリで騙されているとはいえ珍しい経験なのでテンションが上がってきちゃったよ。
これはもう本気で演ってやるしかないね!勇者!
学校行事とかってくだらない事でも本気でやれば面白くなるよね、逆に面倒くさいとか言っちゃうヤツがいると一気に冷めちゃうものだ。
かくいう僕も文化祭などはクラスの雰囲気が面倒くさいの嫌だってなっちゃってすごい適当な感じになってしまってすごい不完全燃焼だった。
それに比べて兄は文化祭で個人で仲間を集めて教師まで巻き込んでプロレスをしていた。
だいぶ前の事なので詳しい内容は忘れてしまったが、ヒールが赤本を装備した教師でそれを倒す流れだった。
僕もそういう仲間が欲しいのだが、文化部にはそういう体育会系のノリはないらしく絶望的な感じだ。
が、こういうチャンスが巡ってきたのならば是非もない、本気で演りましょう!
アドリブもかましてやりましょう。アニメ、漫画、ラノベ、それなりにたしなんでいる現代っこをなめてはいけない。
もう克服したが廚二病もそれなりに経験している。
「あのー、大丈夫ですか?」
彼女がおずおずと尋ねてくる。さすがに突然高笑いするのはまずかったようだ。
だけどこれから僕は勇者なのだ、僕が正義、天上天下唯我独尊、高笑い程度で恥ずかしがっていてはいけないのだ。
「よし、準備できたし行くか!」
「そ、そうですね…」
騙すはずだった相手が妙にノリノリになってしまって戸惑うのは理解できる。
だが僕はもう決めたのだ、騙す方もびっくりするくらいの勇者っぷりを見せつけてやろうと!
「あ、そういえばどうやって舞台に行くんですか?」
そういえばこの部屋はどういう技術なのかわからないが真っ白な空間なのだ。ぱっと見渡したときにわかりやすい移動用の道具は見当たらない。
「それはこれを使います!」
よくぞ聞いてくれました!と言わんばかりの表情でビシッと部屋の隅を指差す。
すると先ほどまで何もなかった場所に魔法陣が浮かび上がる。
「召還の魔法陣か…」
ここまでやるとは凝り過ぎでしょ…
覚悟はしたけどここまで凝ってると僕如きの演技力で大丈夫だろうか?
「よし、では行きましょう!さぁ行きましょう!魔法陣に乗って下さい!」
彼女はやる気に満ちあふれた表情で宣言する。
いろいろバレてしまった僕をとっとと追い出したいのだろうか?まぁ、理由はどうでもいいや。
「準備できましたね?では行きますよ!」
彼女は宣言すると同時に閃光がほとばしり視界が奪われる




