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第三話:出会い?

「…日が、暮れるなぁ」


木の根元に座り込んで、溜め息交じりに呟く。


「あー…。これからどうすればいいんだろう…」


瞼を閉じ、かすかに吹き抜ける風を、その身に感じた。

同時に、この先どうするべきかと言う迷い。


リュートを残して村へ帰る事は、きっと許されない。

ただでさえ蔑まれているのに、手ぶらで帰るなんて自殺行為だ。


「取り合えず…」


歩くか…と、シヴァは重い腰を上げて再び歩き出した。

歩けば歩くほど、どんどん深く森へ進入していってる気がする。

それはきっとこの森が、日が沈もうと何しようと不気味に輝いているからだ。

しかし…


「何にもねぇな…」


再び溜め息がこぼれた。


神秘と呼ばれるからにはやはり「神秘の泉」とか、「伝説の剣が眠る場所」

とかそういうイメージが、密かに頭にはあった。

こんなに深くまで訪れたのは初めてだが、しかし本当に何も無い。

気配を悟るのにも、いい加減飽きが回ってくるものだ。


「あー…何もねえならモンスターくらい出てきても、バチあたらねェーよ」


――――て―――…


パンッ!!


「……っ!?」


シヴァは突然左目を襲った激痛に、思わず目を覆い、その場にうずくまった。


「痛…ッ!!?」


一瞬の出来事に、シヴァは心底焦った。

近くに気配は無かった。無いはずだ。何故…。

手を離すと、森の光に黒く染まったべたつく液体が、次々と草に滴り落ちた。


目、が…!!



―――だり―――左―――…て―…


「だ、誰…」


パンッ!!


再び同じ破裂音が、今度はシヴァの左耳を襲った。


「ぐ…っ!!」


何かで射抜かれたような、素早い痛さ。

この世のものとは思えない激痛に、手が震え、先が見えない今に思わず

パニックを起こしそうになる。


「おいおい…モンスターと妖怪は、ちっと違…ッ!!」


誰だ。


誰か。


何故。


出してくれ。


カギを開けて。


―――コノ、キョウフカラ――!!!


―――ひ―――…


「!!!」


―――……だ…――


「いっ…嫌だぁああっ!!!」


刹那。

辺りを白銀の衝撃波が包んだ。


ゴゴゴゴ…!! と鈍い岩音と共に木がなぎ倒され、風が吹き荒れ、

葉が引き裂かれ狂ったように舞い、辺りを塵一つ無く吹き飛ばす。


「ひ、ああぁあ…っ!!」


シヴァ自身も風に裂かれる。

左眼が、燃えるように熱い。

耐えられないほどの痛み中に、何故か冷静な部分が身体に指示を出した。

思わず頭を覆うが、いや、この騒動は確かに…。


俺が。


オコシタモノ―――…


「と、止まれぇええっ!!」


シヴァが大声で叫ぶが、自然の怒りは収まらずに辺りを食い尽くしていった。




タスケテ…止まらない。


誰か止めて。俺を、止めて…


―――いや、止まらない!!!!


「―――静まれ、神聖たる神々よ!!」

「……?」


誰だ…。

へたり込んだ先、顔を上げるがぼやけた視界が支配した。

見えたのは、光のような純白を纏った…女。


「逃げろ!!」

「我は光の使い! 神聖なこの地を荒らす事は許さん!!」

「ダメだ、そんな事ぐらいで…」

「…止まれ!!」


スゥ…と、辺りの緑は徐々にその力を弱める。

まるで、この女が森を支配している者のように見える。

シヴァはごくっ、と生唾を飲み込んだ。


「あんた、誰だ…っ?!」

「酷い怪我、綺麗な瞳が勿体無かったわね」


シヴァの顔をぐいっと引き寄せて、女性は瞳を覗き込んだ。

白い肌。ショートカットの銀髪。髪に散りばめるようについている

円形紫色の髪飾り。

そして、先ほど視界のかいま見た純白のドレス。

見るからに、大人っぽさを感じる容姿だった。


「い…っ、目が、痛いん…触るなァ!!」

「お黙り!! 街は何処なの? ここから近いの?」


女性の態度と言動に、シヴァはきょとんとした目で見た。


「近いならとっくに帰ってる。大体、俺は迷い人なんだよ…」

「あら、そうなの…大丈夫、近いわ、こっち!!」

「へ、あ、オイ!! 馬鹿! むやみに歩くんじゃねェ!!」

「馬鹿はあんたよ! さっさと来る!」


いきなり張り上げた声に、思わずシヴァは後ずさった。

しかし腕を引かれ、一緒に森の中を走り出す。


夜だというのに、分かるだと?


不審に思わずには居られなかったが、とりあえずこの森から出れさえ

すれば、もうどうでも良かった。





…誰がヒロインなんだ…?(ハッ。

最後まで読んでくださってありがとうございます。

予定よりも大幅に変更した(してしまった)ストーリーですが…。

この先もどうか温かく見守ってください。


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