俺、また馬に生まれました―― 障害4戦目
「俺、また馬に生まれました」の続編にあたります。
本編はこちら↓
【俺、また馬に生まれましたシリーズ】
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朝方は、涼しいを通り越して寒いかなと思う気候になってきた。
絞りに絞られたエースは、G1で2着だったらしい。
急なダイエットの反動かな?おやつ解禁されるといいね。
前世の俺の好きなおやつに想いを寄せる。
そう、俺には前世の記憶がある。
前世の俺も競走馬だったのだ。しかも伝説の無敗馬。
いまの俺もすごいのか?って、前世とは違う場所を目指している。
今日も今日とて、俺は「まだ走りたいアピール」を繰り返して、マッチョ化計画を進めている。
ノブさんもあんちゃんも慣れてきたのか、
「スーやんは、障害好きなんだねぇ」と付き合ってくれる。
カイザーと違って、俺には足りないものが多いんだ。
だから調教もしっかりやる。馬一倍やるんだ。
少しずつ、成果が出てきていると思う。調教試験のように1周でヘロヘロになるようなことはもうない。
さすがに3周は無理だけど。
いつか平気になりたいなぁ。
きついけど、充実した特訓を送ってこれたと思う。
俺は4回目の障害レースに挑むことになった。
パドックで以前一緒に走った馬をちらほら見かける。
顔なじみに軽く頭をさげてご挨拶。
カイザーだったときは、メンツなんて気にもとめてなかったな。
みんな勝利目指して走っているんだなと初めて思った。
さて、パドックが終わったらノブさんを背に竹チェックだ!!
ついでにコースの確認。ノブさんが芝と砂地の境目を示してくる。
ここを通るってことだっていう意味だとわかってきた。
このコースは坂が少ない。……竹みたいに坂があとで盛り上がってきたりしないよね?
いつの間にか出現する竹の障害の謎のせいで何でも疑ってしまう。
平地とちがって障害レースは不思議がいっぱいだ。
ノブさんに誘導されてゲートが開くのをじっと待つ。
がしゃん。慌てず、すっと俺は飛び出した。
歓声があがる観客席が近い。俺カッコよく飛べてるかな?
ハードルと生垣を連続ジャンプ。ちょっとだけ観客席を見る。
この先のコーナーは狭いから、外に膨らまないように走るのが大事。
ロスなく回って、俺は先頭でコーナーを抜けた。
すぐに2つの生垣が迫ってくる。リズムよく超えていく。
生垣の上部のボーイいわく、やわらかブラシの感触はちょっと好き。
次はコーナーの真ん中の生垣。ちょっと斜めに飛ぶから難しい。
そのまま、またスタート地点に向かっていく。
ノブさんの感じから、もう一周同じところを走るのかな。
……そういうときって、竹の障害が増えてるんだよね。
絶対見逃さないぞ。俺はしっかりとコースを見据えた。
……増えてなかった。あっさりと同じコースを回り終えた。
ノブさんの合図で砂地の方へ進んでいく。
GOサインだ!!この先はゴールなんだ。
俺は慌てて全力ダッシュした。後ろから馬蹄がせまってくる。
俺のスピードで逃げ切れるか!!
あと200メートル、まだ先頭だ。
負けたくない!!!
あと100メートル。競りかけられる。
いやだ。抜かれたくない。俺はぐっと体を前に出すように食らいつく。
少しでも前に前に前に前に……。
「スーやん。ストップストップ」
ノブさんの声で自分がゴールを抜けたことに気づいた。
俺、何着だったの?
俺は1着だった。
検量室前で、おっさんが飴玉をくれた。
リンゴじゃない。
かりかり……リンゴの味がする!!
「ふふ、リンゴ味の飴にしたんだけど、気に入ったかな」
甘いリンゴが最高だけど、すっぱいリンゴより好き。
おっさんに俺は頭をこすりつける。
今日俺頑張ったよね。もう一個ほしいなぁ。




