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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。

真実を暴露する話

戦場の上から真実を暴露する

作者: 氷桜 零
掲載日:2025/10/28


私は森にひっそりと住む魔女シーラ。

昔の私は遠い国の王城で魔女をしていたけど、魔女嫌いの貴族の罠に嵌って冤罪を被せられ、国を追放された。


次にたどり着いたのは、薬師が少ない国。

魔女として薬作りは得意だったので、薬師として貢献していた。

けれど、私の薬の効果が高すぎたようで、他の薬師のやっかみを受けて、これまた冤罪を被せられて追放された。


そうして国々を転々としているうちに、人間関係に疲れてしまった私は、誰も来ないであろう森の中で生きることにした。


森には豊富な食料も、優しい隣人である妖精や精霊、聖獣たちもいて、穏やかな生活を送ることができた。

人間の中で暮らすより、こっちの方がわたしにはあっているのかもしれない。


森のなかで隠居生活を満喫して、気がついたら200年ほど経っていた。

私は魔女の中でも魔力が多く、老化がとても遅いのだ。

たぶん殺されなければ、寿命で死ぬことがないくらい魔力が多い。


時々、情報を仕入れに人間の街に降りることがある。

降りるたびに、人間の世界はどんどん様変わりしていた。

世間知らずの魔女には、到底、追いつけなかった。

人間の街に降りた日は、本当に疲れる。

情報が溢れすぎて、何が本当で何が嘘なのかわからない。

人間は、面白おかしく話を変える生き物だから。

こんなことなら、精霊や妖精に聞いた方が、正確な答えをくれるだろう。




そんな穏やかな毎日を、突如として壊された。


いつものように昼食を作っていると、数人の妖精たちが飛び込んできた。


〈大変、たいへ〜ん!〉


〈僕たちの森が、壊される〜!〉


〈燃やされる〜〉


〈助けて、シーラ!〉


「待って、待って、順番に話して。何で森が壊されるの?」


〈人間がこの森の資源を狙ってる!〉


〈俺たちの森だ〜って、二つの国が森の入り口で争ってる!〉


やっぱり人間ってやつは、碌なことをしない。

この森は一種の聖域。

妖精や精霊、聖獣が暮らす聖域だ。

私は幸いみんなに認められてるけど、人間が好き勝手にしていい場所じゃない。


それに妖精たちが困っているなら、私が何とかしよう。

物理的に。

あと、できれば精神的にも。



妖精や精霊たちに、二つの国の情報を急いで集めてもらった。


妖精たちの案内の元、空を飛んで現場に向う。

徐々に聞こえてくる金属音と、木々の焼け焦げる匂い。


何してくれとんねん。


思わず、方言が出てしまうほどだ。


私は戦場の上で停止すると、容赦なく、氷の雨を降らせた。

ついでに消火ができるので、一石二鳥。


「何者だ!?」


生き残った兵士たちは、上空にいる私を見た。


「私はこの森を守護する魔女。勝手は許さない。今引くなら、これで見逃してやろう。」



「ふざけるな!」


「殺せー!」


一斉に魔法が放たれるが、全ての魔法を腕の一振りで無効化する。


残念だ。

これで引けば、恥をかかずに済んだのに。

国の名誉なんて、地に堕ちろ。


中継地点を置き、二ヶ国に映像と声を届けた。


「ワンド国王は国民のためではなく、密かに囲っている愛妾のために、この森を手に入れようとしている。税金は愛妾に注ぎ込み、民の生活を圧迫している。」


戦場は静まり返った。


「まともな王妃は国王に幽閉され、まともな貴族は冤罪で処分された。徴兵により働き手を失った小さな村は、女子どもが餓死している。だが国は何もしない。税金を上げるだけ。こんなところで、遊んでいていいのか?もしかしたらお前たちの家族も、死んでいるかもな?」


『そんな……』


『嘘だ、嘘だ、嘘だ……』


「ラスト国の王は宰相と王妃のお人形。薬漬けで正気を保っていない。宰相は自分勝手に国を動かし、王妃は国庫を食い漁る。」


『王命は嘘だったのか!?』


「まともな貴族はおらず、宰相に阿るものばかり。徴兵により働き手を失った村は、女子どもが奴隷として他国に売られている。村だけでなく、街も王都も貴族にまで、奴隷の手は伸びている。その金で、王妃と宰相は豪遊している。いいのか?帰ったら家族が消えているかもな?」


『あぁぁぁぁぁーー』


『やってらんねぇ!俺は帰る!』


『俺もだ!』


『き、貴様ら!命令違反だぞ!戻れ!』


ここに来た兵士は、大半が徴兵された平民。

こんな話を聞いたら、気が気ではないだろう。

ほとんどの兵士が逃走したため、すでに戦線は崩れていた。

指揮官の貴族だけで戦うのは、まず無理。

あいつらも、すぐに逃げだした。


遺体は、掃除屋のスライムに任せることにする。

私は精霊の力を借りて、森を再生させた。




その後逃げ帰った兵士たちは、魔女の言葉が真実だったことを知った。

徴兵された兵士も、映像を見ていた平民も、怒りに火をつけた。

二つの国では、平民とまともな貴族を中心に、叛乱が起きた。

悪事に加担していたものたちは、平民の手でなぶり殺しになった。



そして新たに、魔女と森に手を出してはいけないと言う、不文律ができたのだった。


当の魔女はというと、今日も穏やかな日常を過ごしていたのだった。




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― 新着の感想 ―
どこのトップも人には言えない悪いことの一つや二つはあるものだけれど魔女の情報網正確だからね…早いしね…! 賢い女こええの概念が魔女とは言え、痛快にやりこめる姿は素敵ですなぁ…
森に引き籠っていて世間に疎いと言う割に、スキャンダルに詳しい魔女様。 精霊や妖精から情報を集めているのかも知れませんが、意外とゴシップ好きなのかも
大体戦争の理由なんてこんなものだよ。国のメンツか、金と資源に領土を奪い取るかだから。 名品の茶釜が理由でもあったしね(火薬を詰めて爆死したので最悪人にされてるんだよな~)
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