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めしエッセイまとめ

絶対若者がいかないご飯屋さんの話

作者: よもぎ

昔、まだ四国の上半分の二つのどっちかに住んでいたころのお話です。


以前にもセルフうどん屋で言ったように、私は友人一家の紹介や自分の感性が促すままに個人経営のお店に飲み食いしにいっていました。




今回は、前回書いた「インスタ映えしない喫茶店」の一階のご飯屋さんの話です。


このお店は、店の1/3ほどはオープンキッチン、残りの2/3部分にテーブル席。それと座敷席が2つほど店を拡張して作られているお店でした。

はっきり申し上げます。

普通の飲食店よりパッと見は汚いし、お客もすぐ近くの漁港のおじさんおばさんたちなので若者が入るには空気感が異色で、地元の人しか利用しないお店でした。


私は祖父母に連れられて入ったので存在を知っていましたし入店に抵抗がありませんでしたが、よく知らない人はまず存在をスルーしていたんじゃないでしょうか。




そのお店は、ラーメン(味噌塩醤油じゃなく「ラーメン」)、うどん、親子丼や卵丼に焼きめしを提供していました。

私はそれなりに通っていたので全メニューを制覇していて、どれもまあまあ好きでした。

量のわりに安かったので、クソガキでもふらっと寄ることが出来たのも大きいですね。


ここでもはっきり申し上げますが、専門の飲食店と比べれば家庭的な味という評価しか出ません。

うどんつゆもラーメンスープも、もしかすると業務用だったんじゃないかな。

少なくともラーメンスープを朝から煮込んで作っている様子は見たことがないです。

麺類とてこだわりの逸品的な感じもなく、冷蔵庫に無造作に入れてあるものを茹でているのを見ています。


でも、だからこその気取ったところのない味というものがあります。



「お嬢ちゃん若いからチャーシュー一枚多くしてあげる」

「ごはん大盛がいいよね、並盛料金で出すよ」



みたいに、融通が利いたのも大きいです。

そして私はブルジョワな舌ではなく、ラーメンスープがインスタント袋めんのスープでも全然おいしいし満足できる人間なので、もしかすると上級ラーメン民からすると「まっず……」ってものだったのかも?


でも麺類の茹で加減とか、卵系どんぶりもののとろとろ加減は神だったんですよね。

麺はコシがありつつも生さは感じないもので、スープやつゆとの相性は抜群でした。

どんぶりものの卵は半熟と完熟のはざまで、スプーンでざくざく食べるのに一番いい加減で、どこか一部は味がついていないなんてこともなく尚且つ卵とご飯の分量がちょうどよくてどっちかが余るなんてことはありませんでした。



このお店は繁盛していたのですが、料理担当のおばさまが亡くなられたことを切っ掛けに閉店し、今では建物もありません。

故郷を離れる時には取り壊されて雑草生い茂る空き地になっていました。


あの時、お店に通っていた人たちは今はどこでご飯を食べているんだろう?

そんなことを時たま思います。



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