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ラブとマオウ

 私こと凛と、マオウとラブの3人(?)で白米を探しに森へ出かけることになった。

 楽しそうな様子のラブが先頭に立っている。

 これは普通に散歩になりそうな予感がするけど、いいよね。

 歩くラブを見て、ふと疑問が湧いた。

「あの、今更ですがラブにリードとか付けなくて大丈夫ですか?」

「リード……?何だそれは」

 ラブは犬のようにしか見えないが、首輪もしてなければリードもしていない。

 急に駆け出して迷子になって、誰かに襲われたり……なんて考えるとゾッとする。

「ええと、ラブが急に離れていかないように一定の距離を保つようにする道具です。私の世界ではペットを飼育する際の義務みたいな感じでしたね」

「そうか。それなら必要ないな」

 マオウは先を歩くラブを見やる。

「ラブは人間が飼っているペットというものではない。それに、ラブが迷子になることもない。マオウが住んでいるところには魔物も人間もやってこない。安全だな」


 マオウはフッと鼻で笑った。

 私はきょとんとマオウを見上げた。

「いやいや、私という人間が入ってきてしまっているじゃないですか。他の人間がいつ入ってきたっておかしくないでしょう?」

 私がそう言うと、マオウはククっと笑いをこぼした。

「凛が異質なだけだ。この世界の人間にこの場の空気は耐えられない。だから人間が私を倒そうと思った時、能力?のある人間?を必要としたのだろうな」

「何でちょっと疑問系なんですか」

「凛には能力とやらが無かったのだろう?でもここの環境に適応している。それに凛は私の知っている人間たちとどうも一致しない。……本当に人間なのか?」

 恐々とこちらを見てくるマオウ。

 いや、今更そんなこと疑問に思うかな!?

「この世界の人間とどう違うのかいまいちわかってませんけど、私は人間ですよ!?」

「そうか、面白い世界があるものだな」

 マオウは考え込むような仕草をしている。


「そういえば、ラブって何に当たる生き物なんですか?」

 少しの沈黙の後、疑問に思っていたことを口に出してみた。

 ラブは周りの匂いを嗅ぎながらゆっくりと前に進んでいる。

「さあ、何だろうな」

 マオウは首を捻って答えた。

 ええ、と思わず声が漏れそうになった。

 マオウはうーんと唸りながら続けた。

「魔物として生活していた時、ラブのような魔物は見なかった。人間と暮らす人間じゃない生き物は魔物の住んでいる場所には決して近づこうとしない。だから、本当にわからない」

 予想外の答えに驚いた。

 てっきり魔物の1種と答えが返ってくると思っていたからだ。

「私と同じように、別の世界から連れてこられたって可能性もあるんですかね」

 私がポツリと漏らすと、マオウの顔がパッと明るくなったように見えた。

「そうか、そうかもしれんな」

 マオウは愛おしそうにラブを見つめている、ように思えた。

 今だにマオウの表情の機微は読み取りにくい。

「もう200年の付き合いになるからな、ラブとは」

「えーーー!?」

 思わず大きな声が出てしまった。

 声に驚いたラブが慌てた様子で駆け寄ってくる。

「ああ!ごめん!ごめんね!何もないよ!びっくりしたよね!?」

 ラブを撫で回しながら私は必死で謝った。

「な、何かあったか!?」

 マオウも動揺している様子。

 そういえば威厳みたいなものを感じないな、このマオウ。

「あ、いえ、200歳を超えていることに驚きを隠せなくて。特にラブに」

「あ、ああ、何だそんなことか」

 マオウはホッと胸をなで下ろしていた。

「お互い、知らないことばかりだな」

「本当ですよ」

 そんな会話をしながら私たちは先へ進むのだった。





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