第1章―始めに―
これからよろしくお願いします。
あたしは、ラン。そしてこっちの男がペン。
そんな2人を、周りのみんなは・・・
“ラブ&ピース” と呼び始めた。
―ラブ&ピース―#1
ペン 「ラーーーンーーー!!!!!!遅刻すっぞ!!」
今の時間は7時46分。
ランはまだパジャマだったけど…遅刻してしまう…
ラン 「うっさいな…朝っぱらからなんだよ…」
ランは窓の外をのぞいた。家の前に、赤い自転車に乗ったペンがいた。
ラン 「朝っぱらから、可愛い乙女になんちゅー言葉遣いなの!!??」
ランがえらそうに言った。
ペン 「うっせー!!あー!!まだパジャマかよっ。間に合わねーよ!!!!!!」
ペンが怒った口調で言った。
((ドタッ・・・ドタッ・・・))
ゆっくり階段を降りて行く…。
((ズルッ!!))
誤って足を滑らした。
((ガダダダダダダダ!!!!))
ラン 「いってぇ〜〜〜〜〜!!!!!」
ランはでかい声を出した。
母「なに…朝っぱらからうるさいわよ?起きたんなら早く準備して!!早く早く!!」
そして準備が終わったのが20分後。8時06分。
((ガチャ))
やっと玄関のドアが開いた。
ラン 「ごめ〜ん…フワァ〜」
またのんきにあくびをしている。
ペン 「いちいちうるせー。早く乗れ!!」
ランはペンの自転車の荷台に乗った。
ペン 「出発しんこーー!!」
ペンは急に顔色を変えた。笑顔になった。
いつも近道と言えば、海岸沿いを通る。
潮くさくってちょっと寒いカンジが好き。
『キーンコーンカーンコーン』
ペン 「ヤバイ!!鳴ってるぞ!?」
ラン 「早く!!もっと漕いで!!早く早くっっ!!!!!????」
((シャーーーーーーーーーーーーーッ))
すごいスピードで自転車のタイヤが周る。
((キキーッ))
校門に入ったのはその30秒後。自転車の速度の新記録だ!
渋谷先生 「ちょっと…遅いぞ。その2人!!」
校門のど真ん中に立っていた先生を通りすぎようとした時、渋谷先生が怒った。
ラン (いいから行かせろ!!エミが待ってるんだよ!)
ランは親友のエミの事を考えていた。
ペン (あー早く通らせろ!!タクトが待ってるんだよ。クソジジィ!!)
2人はギンギンしながら先生の説教を聞かされた。
そして通り過ぎたのが15分後…
もう授業が始まる寸前だった。
((ガラララ))
ラン 「お・・・おはよ・・・」
エミ 「どうしたの?元気無いね〜」
ラン 「そりゃ・・・ね?」
ランはペンの方を見た。
ペン 「そ・・・うだな」
そして2人は各友達のところへ行った。
エミ 「ね〜ね〜今日も合コン行く?兵熊高校の男子に声かけられたんだ♪」
今言えば、ランはこの、高島高校の人気No.1とも言える女子だろう。
お肌の具合〇、髪の毛の匂い〇、メイク〇…。
相談をされやすく、先輩、後輩からの尊敬されてる女子2年3組・・・ラン。
人気雑誌にも毎回載っている。
ラン 「合コン行く〜♪最近彼氏作ろうと思って!!」
ラン((チラ…))
ランはペンの方を見てみた。…やっぱりこっち見てる…
(なんなの…?)
そしてすぐにペンは目をそらした。
(・・・?・・・)
エミ 「ね!そーいえば…あの黒板見た?」
エミは黒板を指差した。
するとそこには…!!
『ラン&ペンで♪』
をピンクのチョークで書いてあって…
『2人あわせて』・・・が水色で…
『☆ラブ&ピース★』が黄色&白!?
ラン (ななななななな!?ラブ??&??ピーーースーーー!!!???)
ランはびっくりした顔をした。
男子 「ははっ今気付いたか!!なんかお前らさ〜…気ィ合うみてェだし?朝、一緒に来てるからカップルじゃねーの?と思って!!」
ラン (はぁ!?意味わかんない!!そそそそんなカップルなんかじゃないよ…)
ラン 「まままま待って?あたしとペンはそーいう関係じゃなくて…」
男子 「どーいう関係??」
ラン 「普通の幼なじみで…ただの友達だよ!!そんなカップルなんかじゃないから!」
ハッキリといった。
そのおかげか男子は何も言わなくなった。
そしてエミがランのソデを引っ張った。
エミ 「けど・・・この、雑誌…“ファイブティーン”でもそんならしき事が・・・
ほら、見て…ここ。“今の女子アイドル、ランちゃんと今の男子アイドル、ペン君がコンビした名前…『ラブ&ピース!!』”だって・・・・ラン、これ認めるの?」
ランは微妙な顔をした。
ラン 「そんなの意味わかんないってば〜・・・男子がいけないのよ!!勝手に決めるんだから〜」
エミは(ふ〜ん)と言った。
するとペンがランを呼び出した。
ペン 「ちょい・・・ラン来て」
男子 「お!!何の話すんのかな!?」
期待するような目で男子は言った。
ペン 「うるせーよ」
ペンは真面目な顔で言った。男子は黙った。
ペンに連れて行かれたのは屋上だった。
ラン 「ちょ!!どこ連れていくのよ〜」
まだまだ引っ張られる。そして手すりのところまで連れて行かれた。
このまま押されれば、もう落ちる。
ラン 「ねぇ、待って!!さっきからなんなの?」
ペン 「お前…目立ちすぎ。俺まで巻き込むなよ・・・っ!!」
するとペンはランの頭をわしづかみにされた。
そして
((グイ!!!))
落とされるのだ。
手すりを乗り越えさせられ、背中を押された。
後20cm歩けばもう、落ちてしまう。
ラン 「ちょっとやめて!!怖い!!」
ランは必死に暴れた。
それでもペンは助けようとしない。
逆に、落とそうとしている。
背中に手を当てたままペンは黙った。
ラン 「何!?何がしたいの!?」
ランは焦った。
ペン 「これ以上目立つと…次は…完全に落とす・・・!」
何が起こったのかランはわからなかった。
ラン (何??!!わかんない!!)
すると((ビューーーーーーー))
強い風が吹いた。
その瞬間、ランの足元がふらついた。
「あっ…キャー!!!」
ランは叫んだ。
ペンの顔がどんどん遠くなる。
ラン 「ペンーーーーーーーーー!!!!」
・・・・・・・
・・・・・・・
それからの記憶がない。
目を開けると、ペンがランの下敷きになっていた。
顔を怪我している。
ラン 「え・・・?」
ランは起き上がった。
そしてペンを見た。
ラン 「ちょっと・・・。何よこれ。」
するとちょうど、深野先生が来た。
深野 「ちょっと!!どうしたのかしら!?キャ!!ペン君!?」
深野の声に気付いてみんな集まってきた。
ランは辺りを見渡した。
周りの人 「キャー!!ペン君が倒れてる!!」
周りの人 「ペン!!どうしたんだ?」
((ざわ・・・ざわ・・・))
学校の窓からのぞいてくる人もいた。
その中心に向けられた視線はペンにではなく・・・
ランに向けられていた。
〜#2〜
深野 「ちょっと・・・どういう事か説明してもらいましょうか」
ランは戸惑った。
ラン 「あたし・・・、ペンに誘われて・・・屋上に来たんです。そしたらペンに、目立ちすぎだ・・・って言われて突き落とされて・・・それから記憶がありません」
ランは正直に言った。だけど・・・
周りの人 「ランさんがペンを下敷きにするようにして落ちたんだ!!絶対そうだ!!」
ラン 「・・・は・・・?・・・」
ランはもっと戸惑った。
周りの人 「そうだ〜!!ランちゃんなんてそんな事普通にやりそう・・・」
みんなランを責め始めた。
すると
「んな事疑ってどうすんの?」
誰かの声だ。
そこに立っていたのは・・・
エミだった。
周りの人 「疑ってって・・・ランがペンを落としたに違いない!!」
エミ 「は?その証拠はどこにあるの?」
周りの人は1歩下がった。
エミ 「あんた達ね・・・
今まで・・・ランのどこを見てきた?外見だけか?
それともただの可愛い人形か?
ランがそんな事すると思う!?」
周りの人は黙った。
周りの人 「あたし・・・やっぱランチャンを信じる。さっき疑ってごめん」
けど今は謝ってる場合ではない。
ペンが何をしたのか、どうなったのか?
深野 「ととととっとにかくみんな!!解散!!はいはい!みんな教室帰って!!ランさんには校長室に来てもらいます。」
―校長室―
校長 「なるほど・・・」
深野 「それから記憶が無いって・・・」
校長 「ランさん・・・ちょっと聞きますが・・・本当に突き落とされたんですね。」
ランはうなずいた。
校長 「わかりました。下がりなさい。」
そしてランは校長室を出た。
ドアを閉めたもののランはドアに隠れて話を聞いた。
校長 『フゥー・・・』
深野 『こ、校長先生!?ランさんを信じるんですか!?』
校長 『・・・』
多分今のはうなずいた・・・とランは思った。
深野 『何でですか!!あんな成績の悪い子・・・』
校長 『あなたは・・・何しにここの学校へ来たのですか。みんなを助ける・・・でしょう?』
そしてその後の話は聞かなかった。
校長『〜〜〜〜』
深野『〜〜・・』
ランは教室に入った。
((ガラ))
そこにペンの姿は無かった。
ラン 「・・・」
エミ 「さっきのって・・なんだったの?」
ランは今までの事を話した。
エミ 「ふ〜〜〜ん・・・そうなんだ・・・大丈夫だよ。それはペンが帰ってきてから話す事だから・・・まずは・・・落ち付こ!!」
ラン 「そうだね・・・・」
すると((ガラ))
ペンが入ってきた。
そしてペンがランに近づいて来た。
〜続く〜