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プロローグ それはプロポーズから始まった。

「結婚して頂きたい!」


 その瞬間ホールは静まり返った。

 は?へ?私は硬直した。


 私の前には銀髪とエメラルド色の瞳も麗しい超イケメンが跪き、胸に手を当てながら一心に私の事を見つめている。私はというと、グラスを落とさなかったのが奇跡というような動揺状態にある。とりあえずお作法に則って左手で軽く口元を隠し、困惑を表現してみた。


 イケメンの名前はアルステイン・サザーム・イリシオ公爵様。私が今滞在しているここ、カストラール帝国の貴族界位ナンバーワンの超ウルトラ大貴族である。皇帝陛下の弟であり、兄の即位に伴って臣籍になり公爵家を興した。つまりこの大陸で一二を争う大帝国であるカストラール帝国の二番目に偉い人だ。


 私はというと・・・。


「イルミーレ・ナスターシャ・シュトラウス男爵令嬢」


 イリシオ公爵が私を見上げながら優しく呼び掛ける。うん、男爵令嬢。そういうことになっている。今ここでは。


「どうかこの求婚を受けてもらえないだろうか!」


 つまりこの眩しくて直視できないくらいのイケメンかつこの国で二番目に偉い人は、どうやら間違い無くこの私にプロポーズをしているのだ。ダンスホール、100人くらいの人が集まったパーティーの中で、衆目の中心で高らかにぶっ放ったのだ。


 このホールにいる人間たちのすべての視線が私に集まる。先ほどまで奏でられていたはずの円舞曲は止まってしまって物音一つしない。その静寂の中、美しいかんばせに真剣かつ不安そうな表情を浮かべてイリシオ公爵が私を真摯に見上げている。


 私は内心と背中に汗をダラダラ流しながら口元を隠した手をそのままに必死に考えた。


 どうしてこうなった!

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