980話 メグミにとっては可愛い子
いつものようにイジられたメグミが、若干キレかけたものの……無能の送り先が正式に決まったことで、止まっていた<農民><小鬼>同盟の業務は再開。
メグミは、差別にならない程度に無能神のリソースを奪い取って弱体化させたうえで、眷属として転生させ……
同じタイミングで眷属転生した不幸神とペアを組ませて、「水属性アイテムのお試し部屋」へ放りこんだ。
『おぃ、前世では世話になったな。ケジメとして今すぐ首を落としてやるから、大人しくそこに跪いて首を出せ!』
『無茶を言うな。私はただ、ご主人様の役に立とうと奮起しただけだ! お前が勝手に巻きこまれて無駄死にしたんじゃないか。他人のせいにするなよ』
『なにをぉ〜!』
『やんのか、オラ!!』
前世の記憶が残っているうえ因縁ありまくりのペアなので、お試し部屋内の治安は最悪だが……問題ない。
ケンカのついでに水属性アイテムを使ってアラ探ししてくれたら、メグミの目的である「実戦前にアイテムの欠点を洗い出す」作業は完遂される。
またその過程でウッカリ加減を間違えて無能神が自滅してくれたら、その死は「不可抗力によるもの」として恨みを買わずに処理できるから……
本音を言えば眷属転生させたくなかったメグミとしては、万々歳なのだ。
さすがのメグミも、自らの配下となった無能神をイジメ倒す気はないので、「もし万が一、なってしまったら」の話だが……
お試し部屋には無能神と不幸神しかいないので、トラブルが起きて手当が間に合わないetc.で、案外ポックリ逝く可能性もある。
とはいえ……自分のリソースを分け与え、我が子同然の眷属にしてしまったことで、メグミは無能不幸コンビにも親バカを発揮した。
「さすがに、あのままだと死んじゃわない? もう少し広い部屋で、治療要員も入れてやった方が……」
「コストの無駄! まだまだ殉職志願者はいるんだから、お前は奴等のことなんか忘れてドーンと構えていろ!」
「ムムゥ……」
バカな子ほど可愛いというメグミの気持ちも、理解できなくもないが……マサルの言うとおり、今はそんな事に構っている暇などない!
ボッタクリ価格で購入した不良在庫を使って"物ボケ"をかまし、それでメグミを満足させたうえで殉職を試みる、転生希望の中級神達はまだ残っている。
また物ボケ祭りのせいで影が薄くなってしまったが、奴隷落ちしたクソ神とウンコに祟られた闇神も健在であり……
後方からは、合流を試みる上司軍団もせまっているのだ!
この状況で無能不幸コンビを可愛がるくらいなら、奥へ引っこみサーシャと一発キメて、迫りくる修羅場に備える方が100倍建設的である。
「ほら、次の転生志願者が来たぞ! 今回も出来は微妙だが、"無能"を冠していないだけマシだろう」
「マサルの鬼〜! <ムノウ>にだって、探せば一つくらい良いところはあるはずなんだよ! うん。きっとあるの!!」
中途半端に親バカったメグミは、マサルにイジられるたび助け舟を出しているが、<ムノウ><フコウ>という転生名が全てを表わしている。
たぶん<ムノウ>に長所はないし、彼がやらかす度に<フコウ>も巻きこまれ、今世でも共に"ダメな奴"扱いされるのがオチだ。
そして……メグミが次から次へとやってくる転生希望者にツッコミを入れつつ、眷属化として部下へ迎え入れている間に……
安全地帯のダンスルームでチンタラしていた上司軍団が、闇神とクソ神の殺戮場にかけつけた。
彼等としては、クソ神に上手いことやってもらい漁夫の利を得たかったのだが……意外と闇神が手強かった事に加えて、物ボケ中級神にも邪魔をされ……
結果として「自分達の力で対処する」しかなくなり、上流階級の"銭バラマキ能力"を遺憾なく発揮して、ダンスミッションを連続裏口突破したのだ!
『おぃ、俺が支払ったんだから俺が最後尾だろう。ちょっとは空気を読めよ!』
『何を言っているんだ、この腰抜け! 支払った奴が先頭、の間違いだろう? まさか、あそこまで弱っている闇神相手に日和ったのか?』
事ここに及んでも裏口突破に必要な賄賂を出し渋ったり、出す代わりに「一番"漁夫の利"を得やすい最後尾」のポジションを取ろうとしたりと……
糞ムーブは相変わらずだが、これまで安全地帯から口しか出さなかった上級神達が、自ら現場に足を運んだのだから良しとしよう。
『ヒエエェェェ〜〜、鬼が来たぞ! 急げっ、急いで殉職を果たしメグミ様の元へ行くんだ!!』
それと同時に、逝き遅れた中級神達の殉職駆け込みタイムも始まったが……本音を口に出したのはマズかった。
『なぁ、争うのは一旦止めにして……不忠義なゴミを掃除しねぇか?』
『『『『『『『『そうだな』』』』』』』』
普段はチーム仲最悪なくせに、「格下にナメられたとき」だけは一致団結して事に当たる、「最悪な上司の鑑」軍団を結束させ……
「殉職駆け込みタイムvs粛正タイム」という、闇神討伐の邪魔にしかならない、地獄の争いが始まってしまう。
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作者はお豆腐メンタルなので、燃料に引火させるのはやめてね(・Д・)






