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959話 O・DE・MU・KA・E




 長時間の足止めに加えて、肛門の酷使で疲労困憊した闇神は、深くため息をつきながらミッションルームの扉を開け、次のフロアへ向かった。


 本音を言えば、仮眠をとってから移動したかったのだが……床は一面汚水まみれで、寝るスペースなどない。


 さすがの<糞神>も、他人の汚物の上で寝起きするのは嫌だったため、休憩を諦めるしかなかったのだ。



 そして……闇神と違って、早めにミッションをクリアしていた事で、多少休めた討伐軍・中級神部隊も……


 闇神と直接バッティングせぬよう見計らいつつ、闇神に続いてミッションルームを後にした。



「ハァ〜。また新たな試練が始まるのか」


「でも、『<働神の加護札>強制貼り付け→闇神のもとへ突撃』が一時停止されただけでも、良しとしないと! 働神様の恩恵は受けたいが、命は惜しい」


「そうだな。ずっとあの部屋に滞在していたら、上級神様達に追いつかれて物理的にボコられるし、逃げるのが一番マシな状況だ」



 闇神を倒すために下界に降りたはずなのに、いつの間にか目的が「上司から逃げること」に変わってしまった、彼等。


 だが本人達にとっては死活問題であり、文字どおり「命がかかっている」ため、それも仕方ないことである。






 そんな彼等が去った数時間後、鬼より恐れられているパワハラ上司軍団が、激辛フロアのミッションルーム入りを果たした。


 当然、メグミが案内したのは……



「臭っ! それに汚すぎるぞ! なぜコッチなのだ!? 中級神共が使っていたミッションルームは、ここより綺麗だったではないか!!」


「たしかに汚水処理はされている。だが……ただ単に汚水を吸わせただけで、床の取り替えすらされていない! バカにしているのか!!!!」



 闇神がたっぷり糞を放ち、汚水まで垂れ流れて「悪魔の監獄」と化した、雑菌たっぷりのバイオハザード部屋。


 汚水除去済みとはいえ、床や壁の取り替えは一切されていないため、臭う臭う……。


 特に、スカベンジャースライムに守られて汚物フロアで地獄を見ずにすんだ、一応味方の彼等には堪えた。



 彼等の元にも、出したてホヤホヤの闇神ウンコが送りつけられていたとはいえ、それは散乱していなかったのだ。


 床全体を侵食し壁にまで飛び散った、汚水跡を目にして平気でいられるほど、まだ上級神達のメンタルは鍛えられていない。



「むっ、メッセージカードが置かれている。なになに……」


「…………。どれだけ無能なんだよ。ありがた迷惑すぎるだろう!」






〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


上級神の皆様方へ。



お見苦しい状態の部屋へお通ししてしまい、申し訳ございません。


可能であれば、こちらも床の取り替えをおこないたかったのですが……初期設定をケチったせいで、「取り替えは一部屋丸ごと」という仕様になっており……


予算足らずで断念いたしました。


もし丸ごと修繕してしまうと、壁に残った闇神の下痢跡まで消えてしまうし、闇神が糞神化したことで、次のフロア以降の仕様を変更しなければならず……


それに予算を割くと、稼いだダンジョンポイントが全く残らなかった為です。


勝つことを最優先に考えた結果とはいえ、皆様にはご迷惑をかけてしまい申し訳なく思っております。


つきましては、せめてもの詫びとして「出迎えの茶菓子」を用意しておりますので、激辛料理ミッションに挑む前にそれを召しあがり……


口を癒していただけると、幸いでございます。


未熟ではございますが、我々も闇神を倒すために全力を尽くしますので、今後ともご指導ご鞭撻をよろしくお願いいたします。



働神<メグミ>


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜






 冷静に考えてほしい。


 たしかに出迎えの茶菓子は嬉しいが……それがウンコ臭漂う汚部屋の、取り替えてすらいない木製ちゃぶ台の上に置かれていたら、素直に喜べるか?



 そのちゃぶ台の木には汚水や闇神のゲロが染みており、表面を拭いただけでは衛生面に不安がある。


 というか……不安しかないし、シンプルに「飯を食う場所」として適さない。



「これを格上相手に言う働神……マジで、頭大丈夫か? いや、大丈夫じゃないからこうなっているんだな」


「茶菓子の隣に、追加の供物名目で闇神の乾燥糞を置くなよ! こんな汚い菓子を食うマゾヒスト、神じゃなくてもおらんわ!」



 最初こそ威勢よく叫んでいた上級神達だが、途中である事実に気付く。


「あっ、イスがない……」


 いつも偉そうにふんずりかえっている彼等にとって、イス無し生活強要は死活問題だ。



 それも、床に座ると土が……とかいう汚さじゃない。


 座るどころか、ふらついたり壁にもたれかかった時点で、汚物跡と相まみえることになる。



「どうする、コレ? 茶菓子は捨てるとして、激辛料理を食う前に掃除するか?」


「掃除してどうなるんだよ。部屋全体が便器って事実に変わりはないぞ。まぁそもそも、<恵のダンジョン>自体が便器みたいなものだが」



 さすがに喧嘩する気力もなくなり、上級神達は黙って床にブルーシートを敷いた。


 自販機でブルーシートを売っている時点で故意と気付きそうなものだが……


 心底メグミ達を見下している彼等は、事ここに及んでも気付かない。

読んでくださり、ありがとうございます!


この小説を読んで面白いと思ってくれた、そこの貴方(≧∀≦)

モチベーションUPの為の燃料……ブクマ・評価・感想・レビュー、待ってます!!

作者はお豆腐メンタルなので、燃料に引火させるのはやめてね(・Д・)

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― 新着の感想 ―
掃除してない汚部屋にあらかじめブルーシート引いた上に「追加で使用するブルーシート」を販売するならまだ納得できるけど、 追加じゃないブルーシート販売は単独だと上位神の限界攻め過ぎて暴発怖いなぁ 本作っ…
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