948話 コチラが汚臭対策させられるとは
〜メグミside〜
感情が芽生えてしまったオートマタはダメでも、嗅覚・感情の両方が死んでいるアンデッドならOKだろう。
そう考えていた時期が、僕にもありました。
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メグミ君、ゴメン……無理( ; ; )
嗅覚なんて無いはずなのに、画面から猛烈に不快なニオイが漂ってきて、吐き気が止まらないってさ。
スケルトンもゾンビもグールも全滅だから、"気のせい"じゃなくて本当に<糞神>のチカラが働いているんだと思う。
byルノーブル
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「ゾンビとグールって、腐臭漂う死体だよね!? それでも耐えられないの!? というか、スケルトンに鼻なんか付いていないじゃん!」
いや、でもそもそも論……モニターを見ているだけで臭うんだから、嗅覚とか関係ないのか。
「ぅん? それなら、どうして"この部屋"は無事なの? この部屋のモニターにも、闇神の姿はしっかり映っているよね?」
「この部屋に流れている映像は、闇神がいるミッションルームを直接撮したものではありませんので。僅かではありますがリスク軽減されております」
「あぁ、そうか」
執事オートマタの言うとおり、よく考えるとこの部屋の映像は、監視役が「問題ない」ことを確認した後、加工・複製して飛ばした"編集済み"データだ。
ほぼリアルタイムで状況を把握できないと対応が遅れてしまうので、タイムラグは数秒しかないが、"生データ"ではない。
以前戦った魔王に、<魅惑の蝶>という不愉快な能力を持つ、<アリス>って169歳の新米狩りババァがいたんだよ。
ソイツはもう殺したからいいとして、また似たようなタイプが現れたとき、コアルームに出入りする幹部メンバーが支配されてしまうと困るから……
各部屋の監視カメラ映像は直接飛ばさず、微妙に映像を粗くする等の加工をおこない、敵の影響が及ぶ範囲を限定している。
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〜魅惑の蝶〜
特定の条件を満たした場合、人間およびモンスターを一時的に魅了する事ができる。
魅了の効果は強く、敵対ダンジョン所属のモンスターが相手でも例外はない。
対象を操れるのは24時間で、ギフトが解けた後3日は魅了できない。
ストックできる数は対象の実力によって変わり、最大100体まで。
条件その1:相手の瞳を50秒間見つめる
条件その2:相手に10分間声を聞かせる
条件その3:相手に口づけをする
*上記3つのうち、1つでも満たせば魅了発動
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「闇神がいる部屋の映像だけ、加工ベースにしない? 監視係の分もさ」
「ダメです! それだと監視になりません。というか、加工前にチェックする係がいなくなります!」
そりゃあそうだけど……執事君、そんなに怒らなくてもいいじゃん。
オートマタなのに、感情豊かになり過ぎだよ〜。
「じゃあ、どうする?」
「それは……」
アンデッドが撤退するレベルで画面から臭うんじゃ、どうしようもないでしょう。
だってルノーブル先輩の配下って、<恵のダンジョン>の糞尿プールでも問題なく活動できる逸材ばかりだよ!?
そんな彼等で無理なら、もうお手あげだって。
<−−− チョンチョンチョンッ −−−>
「メグミ君、私に任せておきなさい。たぶん対処できるから」
「えっ? アスタリア先輩、ウンコ耐性あるんですか?」
<−−− バシッ! −−−>
「デリカシー!!」
「はいっ、失礼いたしました! 全てお任せいたします!!!!」
いけない、汚臭対策に気を取られて地雷を踏みかけた。
アスタリア先輩とサーシャに、ウンコ耐性の話はNG……二度とやらかさないように、脳に刻んでおかないと……!
「それにしても、ハァ〜」
まさか汚臭特化のダンジョンを生み出した僕が、敵の汚臭に困らされる日が来るなんて!
いや……それでも上級神の呪いが飛んでくるよりは、汚臭攻撃の方がマシなんだけど……「ざまぁ」された感がハンパない!
「これって、激辛ミッション継続で大丈夫なのかなぁ? すでに部屋中がウンコ臭で満たされているから、今更かもしれないけど……マズイかも」
闇神の鼻が自分のウンコ臭で曲がったり、奴を監視している上級神がダメージをくらうのは全然構わないが、ウチの可愛い子達が被害に遭うのはダメ!
アスタリア先輩が講じてくれる対策に期待したうえで、もしそれでも臭ってきた場合の手を考えないと。
「(結界? いや……悪臭を防ぐ結界ならともかく、"臭い"って概念を防ぐ結界なんてないし。だからと言って、監視カメラに細工もできないよね?)」
<恵のダンジョン>で暮らしていて、多少は汚臭慣れしているウチの子達でも壊滅状態だから、根本的に"何か"を変えなきゃ太刀打ちできないよなぁ。
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